バクテリアの50Sリボソームに結合して、抗菌活性を示す14員環マクロライド抗生物質は、宿主に対して抗炎症作用を示すことが知られている。この抗炎症作用の機構として、炎症性サイトカイン等の発現調節が考えられる。14員環マクロライド抗生物質はその他多岐に亘る機能を持つ遺伝子の発現に対して影響を及ぼすことが報告されている。しかし、その細胞内標的の詳細については不明な部分が残されている。
我々は、これまでマクロライド抗生物質がTerminal oligo pyrimidine tract-結合活性を変化させること5)、核内のスプライシング因子Sc35を低下させること並びにserine-arginine-rich splicing proteins のSF2/ASFの発現に影響を及ぼすことを報告してきた。これらの細胞内の変化を引き起こした機序を考察するため、今回はmRNAの転写後の成熟やその安定性に関与する核質因子の細胞内動態に14員環マクロライドが及ぼす影響を検討した。
Vol.65 Suppl.A pp116~120
(共同研究につき本人担当部分の抽出不可能)