シラバス情報

授業科目名
漢方医学
学年
4年
単位数
2.00単位
実務経験の有無
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
地野 充時、大原 厚祐、奥山 恵美
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
東金キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
「漢方薬」は日本の現代医療の一端を担っている医薬品であり,その適正使用は良質な医療の提供になくてはならないものである。本来,「漢方薬」は「漢方」医療で処方される薬であり,「漢方」は長い臨床経験による吟味を経て確立されてきた日本の伝統医療である。すなわち,近代科学に基づく現代医学(いわゆる西洋医学)とは異なる医療体系を有する。
本科目では,薬学における漢方医学(「漢方医薬学」)の立場から,現代医療で使用される漢方薬やその配合生薬を理解するために,「漢方」本来の古典的な考え方や疾患概念を,専門用語も含めて広範に,系統的に学ぶ。また,代表的な漢方薬の適用や副作用,注意事項などに関する基本事項を修得する。
授業の概要
① 科目名(英語名):漢方医学(Kampo Medicine)
② 授業形態:講義
③ 授業内容:
薬学における漢方医学(「漢方医薬学」)の立場から,漢方並びに漢方薬に関する基本的知識を修得するために,前半部では漢方の基本的な考え方と「証」を理解する。それを基に後半部で「薬方」(漢方処方)と構成生薬について系統的に学び,両者を関係付けて概説できるようになる。
なお,漢方における古典的な「生薬」の捉え方は,科学をベースにした「生薬学」と異なるが,どちらの立場からの理解も重要である。そこで,漢方本来の古典的立場からの生薬理解を軸にし,生薬学的な見方も必要に応じて加える。
授業形態は講義形式を基本とするが,(状況が許せば)生薬標本観察や味見なども含めて,五感を用いた学習とする。
また,実践的医療としての認識を計るため,実践講義を追加する。

コアカリキュラム E2(10)
科学、医療に関連する英語の代表的な用語を列挙し、その内容を説明できる。(H03800)自然科学各分野における基本的単位、数値、現象の英語表現を列記できる。(H04100)科学、医療に関連する英語の代表的な用語、英語表現を列記できる。(H04200)

授業計画
1回
<漢方とは:イントロダクション>
現代医療において漢方(漢方薬)はどのような位置を占めているかを理解する。西洋医学(西洋薬)と比較しながら漢方医学(漢方薬)の特徴を理解し,それぞれの薬の基本的な利用法の違いを概説できる。また,民間薬,サプリメント,保険機能食品などとの相違について説明できる。

漢方薬と西洋薬,民間薬,サプリメント,保健機能食品などとの相違について説明できる。(E18400)
漢方の特徴について概説できる。(E18100)
現代医療における漢方薬の役割について説明できる。(E18700)

<漢方の基本的な考え方>
漢方の基本的な考え方を理解するために「陰陽論」の概略を学び,漢方の疾病観が説明できる。

以下の漢方の基本用語を説明できる。
陰陽,虚実,寒熱,表裏,気血水,証(E18200)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義
事前学習
配布プリントの全体に目を通しておく。(120分)
事後学習
配布プリントや参考書で対応するところを復習する。(120分)

2回
<漢方の疾病観と治療法(「証」の捉え方)1.罹患部位分類>
「証」を捉えるために,漢方の疾病観に基づいた罹患部位分類を学び,関連する漢方用語(表裏,三焦,五臓など)が説明できる。

以下の漢方の基本用語を説明できる。
陰陽,虚実,寒熱,表裏,気血水,証(E18200)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義
事前学習
プリントの対応する部分に目を通す。陰陽に関して例題を復習し,陰陽の概念を理解する。(120分)
事後学習
今回学んだ漢方用語を声に出し,書くことで,身につける。参考書で理解を深める(120分)

3回
<漢方の疾病観と治療法(「証」の捉え方)2.病態分類>
漢方の疾病観に基づいた病態分類を学び,また関連する漢方用語(陰陽,虚実,寒熱,燥湿,気血水など)が説明できる。

以下の漢方の基本用語を説明できる。
陰陽,虚実,寒熱,表裏,気血水,証(E18200)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義
事前学習
罹患部位分類で学んだ漢方用語の復習を行う。(60分)
事後学習
今回学んだ漢方用語を声に出し,書くことで,身につける。参考書で理解を深める。(180分)

4回
<漢方の疾病観と治療法(「証」の捉え方)3.六病位分類,並びに漢方診断法>
『傷寒論』の六病位分類を学び,関連用語を説明できるようになる。また,漢方診断法(四診や腹診など)の概略を理解する。

漢方医学における診断法,体質や病態の捉え方,治療法について概説できる。(E18500)
漢方の特徴について概説できる。(E18100)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義
事前学習
病態分類で学んだ漢方用語の復習を行う。(60分)
事後学習
これまで学んだことを復習し,「証」の理解に繋げる。参考書で理解を深める。(180分)

5回
<「証」の理解のまとめ><中国医学の三大古典,五行説>
「証」の理解に必要な概念や関連用語をまとめて理解する。
漢方医学において重要な中国医学の三大古典を知る。また,「陰陽論」と共に漢方の考え方の基本となる「五行説」を理解する。

漢方の特徴について概説できる。(E18100)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義
事前学習
「証」の理解に必要な用語を復習する。(120分)
事後学習
中国医学の三大古典,五行説の復習を行う。(120分)

6回
<『神農本草経』における生薬の捉え方,漢方処方の基本原則と命名法>
漢方処方(薬方)を構成する生薬について,『神農本草経』における生薬の捉え方を中心に,薬方の基本と専門用語が理解できるようになる。すなわち,上薬・中薬・下薬の分類,薬味・薬性,七情,君臣佐使の概念を説明できる。また,漢方処方の名称に親しむ。

漢方の特徴について概説できる。(E18100)
漢方薬の薬効を構成生薬の薬能(古典的薬効)で説明できる。(J18100)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義
事前学習
プリントの対応するところに目を通す。(60分)
事後学習
今回学んだ漢方用語を声に出し,書くことで,身につける。参考書で理解を深める。(180分)

7回目
<繁用薬方解説:桂枝剤,麻黄剤,石膏剤>
桂枝剤,麻黄剤,石膏剤を中心に漢方処方の適応症と構成生薬を説明できる。代表的な生薬を列示し,古典的薬能や主要成分を説明できる。

配合生薬の組み合わせによる漢方薬の系統的な分類が説明できる。(E18300)
日本薬局方に収載される漢方薬の適応となる証,症状や疾患について例示して説明できる。(E18600)
漢方薬の副作用と使用上の注意点を例示して説明できる。(E18800)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義,生薬標本観察
事前学習
プリントの対応するところに目を通す。(60分)
事後学習
桂枝剤,麻黄剤,石膏剤の代表的漢方処方に関して復習して理解し,配合生薬を漢字で書けるようになる。(180分)

8回
<繁用薬方解説:柴胡剤,芩連剤>
柴胡剤,芩連剤を中心に漢方処方の適応症と構成生薬を説明できる。代表的な生薬を列示し,古典的薬能や主要成分を説明できる。

配合生薬の組み合わせによる漢方薬の系統的な分類が説明できる。(E18300)
日本薬局方に収載される漢方薬の適応となる証,症状や疾患について例示して説明できる。(E18600)
漢方薬の副作用と使用上の注意点を例示して説明できる。(E18800)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義,生薬標本観察
事前学習
プリントの対応するところに目を通す。(60分)
事後学習
柴胡剤,芩連剤の代表的漢方処方に関して復習して理解し,配合生薬を漢字で書けるようになる。(180分)

9回
<繁用薬方解説:大黄剤,人参・参耆剤>
大黄剤,人参・参耆剤を中心に漢方処方の適応症と構成生薬を説明できる。代表的な生薬を列示し,古典的薬能や主要成分を説明できる。

配合生薬の組み合わせによる漢方薬の系統的な分類が説明できる。(E18300)
日本薬局方に収載される漢方薬の適応となる証,症状や疾患について例示して説明できる。(E18600)
漢方薬の副作用と使用上の注意点を例示して説明できる。(E18800)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義,生薬標本観察
事前学習
プリントの対応するところに目を通す。(60分)
事後学習
大黄剤,人参・参耆剤の代表的漢方処方に関して復習して理解し,配合生薬を漢字で書けるようになる。(180分)

10回
<繁用薬方解説:地黄剤,四物湯類,駆瘀血剤,附子剤>
補血・補陰剤,駆瘀血剤,附子剤を中心に漢方処方の適応症と構成生薬を説明できる。代表的な生薬を列示し,古典的薬能や主要成分を説明できる。

配合生薬の組み合わせによる漢方薬の系統的な分類が説明できる。(E18300)
日本薬局方に収載される漢方薬の適応となる証,症状や疾患について例示して説明できる。(E18600)
漢方薬の副作用と使用上の注意点を例示して説明できる。(E18800)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義,生薬標本観察
事前学習
プリントの対応するところに目を通す。(60分)
事後学習
地黄剤,四物湯類,駆瘀血剤,附子剤の代表的漢方処方に関して復習して理解し,配合生薬を漢字で書けるようになる。(180分)

11回
<実践漢方講義ーその1>
臨床で漢方薬を扱っている医師の講義により,漢方臨床の実際を知る。

漢方医学における診断法,体質や病態の捉え方,治療法について概説できる。(E18500)
日本薬局方に収載される漢方薬の適応となる証,症状や疾患について例示して説明できる。(E18600)
現代医療における漢方薬の役割について説明できる。(E18700)

【担当教員】 地野,大原
【学習方法】 講義
事前学習
「証」の捉え方や「薬方」を系統的に復習する。(120分)
事後学習
配布プリントや講義ノートをまとめる。(120分)

12回
<実践漢方講義ーその2>
臨床で漢方薬を扱っている医師の講義により,漢方臨床の実際を知る。

漢方医学における診断法,体質や病態の捉え方,治療法について概説できる。(E18500)
日本薬局方に収載される漢方薬の適応となる証,症状や疾患について例示して説明できる。(E18600)
現代医療における漢方薬の役割について説明できる。(E18700)

【担当教員】 地野,大原
【学習方法】 講義
事前学習
「証」の捉え方や「薬方」を系統的に復習する。(120分)
事後学習
配布プリントや講義ノートによる復習を行う。(120分)

13回
<漢方薬の副作用並びに西洋薬との相互作用>
漢方の副作用と誤治,瞑眩,西洋薬との相互作用に関して説明できる。

漢方薬の副作用と使用上の注意点を例示して説明できる。(E18800)

<世界の伝統医療,相補代替医療,統合医療>
世界の4大伝統医学の流れを学び,漢方医学の位置づけができる。また,相補代替医療にはどのような医療があるかを知り,漢方医学を含めた統合医療の基本的な考えが理解できる。

諸外国における伝統薬の利用について,日本と比較しながら説明できる。(E18101)

【担当教員】 奥山,大原
【学習方法】 講義
事前学習
プリントの対応するところに目を通す。(60分)
事後学習
代表的な漢方薬の副作用を復習する。漢方医学の特徴と医療における漢方薬の活用に関して考える。参考書で理解を深める。(180分)

14回
事前学習
事後学習

15回
事前学習
事後学習

16回
事前学習
事後学習

17回
事前学習
事後学習

18回
事前学習
事後学習

19回
事前学習
事後学習

20回
事前学習
事後学習

21回
事前学習
事後学習

22回
事前学習
事後学習

23回目
事前学習
事後学習

24回
事前学習
事後学習

25回
事前学習
事後学習

26回
事前学習
事後学習

試験及び成績評価
期末試験を実施する。また、小テストや中テストなどにより理解度を確認する。
期末試験:70%
臨時試験:20%
授業への取り組み:10%
定期試験までの総合評価で合格基準を越えなかった学生には,追・再試験(試験100%)を行う。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
質問等があれば,教員のオフィスアワーを利用するか,メールアドレスでアポイントメントをとってください。
奥山恵美(emioku@jiu.ac.jp)
大原厚祐(ohara@jiu.ac.jp)
地野充時(chinoppi0323@jiu.ac.jp)
講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
授業時に適宜プリントを配布する
プリント参照
プリント参照
プリント参照
プリント参照
参考文献・推薦図書
『漢方薬学—現代薬学生のための漢方入門— 』奥田拓男 編(廣川書店)
『パートナー生薬学』竹谷孝一 他編(南江堂)  [ 2年次で使用の教科書 ]
「改訂漢方生薬標本セット」(金子漢方薬局)
『漢方入門』中村健介(丸善)
『漢方薬物解析学』岡村信幸(広川書店)
『化学系薬学III.自然が生み出す薬物』日本薬学会編(東京化学同人)
『現代医療における漢方薬』日本生薬学会 監修(南江堂)
『改訂一般用漢方処方の手引き』日本公定書協会 監修(じほう)
『標準東洋医学』仙頭正四郎(金原)
『究めるエキス漢方大全: 「Z to A 」実践から基礎へ』仙頭 正四郎(金原)
『学生のための漢方医学テキスト』日本東洋医学会学術教育委員会 編(南江堂)
『入門漢方医学』日本東洋医学会学術教育委員会 編(南江堂)
『統合医療 基礎と臨床』日本統合医療学会 編(日本統合医療学会)
『漢方・中医学講座ー基礎理論編』入江祥史(医歯薬出版)
『漢方診療のレッスン』花輪壽彦(金原)
『薬学生のための漢方医薬学』山田陽城 他 編(南江堂)
『和漢診療学—あたらしい漢方』寺澤捷年(岩波新書)
『基本がわかる 漢方医学講義』 日本漢方医学教育協議会 編(羊土社)
その他,随時に提示する。 
研究室
奥山恵美 研究室 K棟2階 K209
大原厚祐 研究室 K棟6階 K606
地野充時 研究室 K棟6階 K606
オフィスアワー
奥山恵美:木(V限),金(V限)
大原厚祐:火(III限),火(IV限)
地野充時:火(III限),火(IV限)
科目ナンバリング
学位授与方針との関連
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