シラバス情報

授業科目名
国際開発論
学年
3年
単位数
2単位
実務経験の有無
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
本年度開講せず
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
東金キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
授業では、開発をめぐる様々な考え方やその変遷をたどり、国際開発の主要課題への取り組みについて理解を深めていく。また「南」の国や地域で起きている諸問題は、私たちの生活とどのように結びついているかを考える。国際開発について複合的な視点を身につけ、国際的な場で協働するために前提となる諸要素について理解することを目指す。さらに文化や社会の多様性を認め、国際社会の中での課題を発見でき、課題解決をはかる力を身につける。
授業の概要
(1) 科目名 (英語名:  国際開発論 (Theory of International Development)
(2) 講義形態:  講義
(3) 内容:
この授業では、開発をめぐる多様な考え方について学ぶとともに、国際開発の主要課題である貧困や格差、教育、保健医療や環境問題などが起きている背景や、解決に向けての取り組みについて、持続可能な開発目標 (SDGs) と関連づけながら考察する。また、日本がこれまでおこなってきた開発援助について概観し、今後のODAのあり方について検討する。さらに国際開発における多様なアクターにも着目し、開発パートナーシップの構築について考える。授業の後半では、「南」の国や地域で起きている諸問題が、私たちの日常生活といかに結びついているかを考察する。国際開発についてより複合的な視点を身につけるとともに、国際的な場で協働できる力を身につけていく。
(4) 授業で主に使用する言語:日本語

授業計画
1回
1. はじめにー授業で学ぶこと
国際開発について歴史的に振り返り、理論やアプローチの変遷、また開発をめぐる多様な考え方について理解を深めていく。また、世界が抱える多様な開発課題とその解決を支援する国際的な取り組みについて考える。まずは、この授業の目的を理解し、授業スケジュールや今後取り上げる開発課題について把握する。
事前学習
[事前学習 2hrs] 事前にシラバスに目を通し、授業内容について把握しておく。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業で学んだことを振り返り、manabaの課題に取り組む。また、配布資料を読み、次回の授業に向けて予習する。

2回
2. 開発とは何か
開発とは何か、またそれは何を目的としているのかを考える。さらに先進国と開発途上国といった国の分類について、また開発主義とオリエンタリズムの共通性についても考察する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を事前に読み、予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] グループワークを行う前に、対象地域を選び、どのような特色がみられるか事前に下調べをしておく。

3回
3. 開発を巡るランキングーグループワークと発表
どのような開発政策やプロジェクトが国の発展には望ましいのか、グループワークを通して考える。開発とは多様な考え方や概念を含むものであることを理解する。
事前学習
[事前学習 2hrs] グループワークを行う前に、対象国・地域を一つ選び、どのような特色がみられるか事前に下調べをしておく。
事後学習
[事後学習 2hrs] グループワークを振り返り、開発を巡る多様な見方や考え方があることを理解する。またmanabaの課題にも取り組む。

4回
4. 貧困と経済成長
貧困とは何かを考える。貧困を物質的欠如として捉え、貧困削減のために経済成長を目指してきた従来の考え方から、モノの欠乏ではなく自由の欠如として捉えるように変遷してきた背景について探る。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を事前に読み、予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、学んだ内容を整理する。またmanabaの課題にも取り組む。

5回
5. 南北問題と近代化論ーW.W.ロストウの経済成長段階論
南北問題が注目されるようになった背景や、その解決のための経済成長を中心とした開発モデルについて取り上げる。近代化論と理論的特色について理解を深める。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を事前に読み、理論的特色について把握する。またキーワードについて調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、要点をまとめる。またmanabaの課題に取り組む。

6回
6. 従属論と世界システム論
近代化論に対する批判として登場した従属論について、また世界システム論やサブシステンス・アプローチについて理解を深める。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を事前に読み、理論的特色について把握する。またキーワードについて調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、途上国の貧しさが作られる背景についてまとめる。また、manabaの課題にも取り組む。

7回目
7. 経済開発から社会開発、人間開発へ
経済開発から社会開発、人間開発への開発パラダイムの転換や、多様な視点から開発を認識する動きについて学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を事前に読み、社会開発とは何か予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、復習する。また、MDGs とSDGsの両者の違いや特徴についてそれぞれ調べ、manabaの課題に取り組む。

8回
8. ミレニアム開発目標(MDGs) から持続可能な開発目標 (SDGs) へ
国際社会が合意したミレニアム開発目標 (MDGs) と後継の持続可能な開発目標 (SDGs) について理解を深める。またSDGsの各国の達成度について比較する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、予習する。また、SDGsに含まれる17の主要目標について調べておく。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、復習する。また、各国のSDGsの進捗状況について調べ、manabaの課題に取り組む。

9回
9. 貧困と格差について
貧困とは何か考える。また絶対的貧困と相対的貧困についても理解を深める。さらに世界的に拡大している格差と政治的・経済的変革に向けた取り組みについて考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を事前に読み、予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、自分なりに要点をまとめる。さらに、どのような変革に取り組むべきかを考える。

10回
10. プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)と環境危機
経済成長と資本主義の矛盾について、またプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)と環境危機の時代について理解を深める。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、キーワードについて、事前に調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、自分なりに要点をまとめる。またmanabaの課題に取り組む。

11回
11. 戦後日本と開発援助
戦後日本の状況や日本が受けた支援について理解する。またその後、復興を遂げて被援助国から援助供与国となり、開発援助に関わってきた歴史的背景について学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] 戦後日本の状況や、日本が受けた支援について予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 指定された資料を読み、復習する。またmanabaの課題にも取り組む。

12回
12. 政府開発援助(ODA)と開発援助に対する世論、ODAについての今後の課題
政府開発援助とは何か、また日本のODAにみられる特徴や傾向について理解する。さらに、開発援助やODA に対する世論について考え、今後ODAはどうあるべきかを考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] 政府開発援助とは何か、manabaに掲載している資料を読み、予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 日本のODAにみられる近年の傾向を把握し、他国と比較する。さらに中間レポートに取り組む。

13回
13. 前半の振り返り
これまでの授業を振り返り、重要なポイントをまとめる。またレポートを作成する。
事前学習
[事前学習 2hrs] これまでの授業を振り返り、要点をまとめる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 期末レポートに取り組み、manabaに提出する。

14回
14. 私たちの日常生活が作る「南」の国々の貧しさ
私たちの身の回りにあるモノとアフリカ諸国との見えにくい繋がりを取り上げる。私たちの大量生産・大量消費型の生活・ライフスタイルが、グローバル・サウスの労働力によって支えられ、また自然の収奪の上に成り立っていることを理解する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している課題に取り組む。まずは、アフリカで生産され、日本に輸出されている品目などを探す。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、身の回りのモノがどの国から来ているのか調べる。またmanabaの課題にも取り組む。

15回
15. カカオの悲しみーカカオ豆・チョコレートと児童労働、ガーナやコートジボワールを事例として
ガーナやコートジボワールでの児童労働について、カカオ豆と関連づけながら学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] 事前に動画を観て、カカオ農園で働く子どもたちと児童労働について理解する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、自分なりに要点をまとめる。またmanabaの課題に取り組む。

16回
16. バナナの悲しみーフィリピンの事例から食を問い直す
バナナを巡る、日本の消費者とフィリピンの労働者との見えにくい繋がりについて理解し、問題の背景を探る。まずは、グループワークを行い、日頃バナナをどのように消費しているかを振り返る。さらに消費者としてできる選択や行動、解決策について考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] 事前に動画を観て、バナナ農園で働く労働者と家族の暮らしについて理解する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業やグループワークを振り返り、多くの問題を抱える労働者の労働問題や環境を改善させるために、どのような取り組みがなされているかを調べる。またmanabaの課題にも取り組む。

17回
17. パーム油と私たちとの繋がりーマレーシア・インドネシアを事例として
アブラヤシから取れるパーム油と私たちの日常生活がいかに結びついているか、またそれがもたらす熱帯雨林の伐採や生物多様性の喪失、劣悪な労働環境などの弊害について理解する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載されている資料を事前に読み、豊かな自然が奪われている現状について調べる。またキーワードも調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 動画を観て、気がついたことをさらに調べる。またmanabaの課題にも取り組む。

18回
18. パーム油と企業との繋がりー’Big Palm Debate’
持続可能なパーム油について、また問題解決に向けての企業の取り組みについて理解を深める。また、これに対して先進国の消費者はどうすべきか考察する。
事前学習
[事前学習 2hrs] 事前に動画を観て、自分なりに意見をまとめる。
事後学習
[事後学習 2hrs] ディスカションを踏まえて、どのような意見や感想が得られたか、manabaにまとめる。

19回
19. 綿花栽培とオーガニック・コットンーインド・中国・ウズベキスタンを事例として
綿花栽培における現状と問題点について、2つの国の事例から学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] 綿花をキーワードに、生産国やその現状について調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 綿花栽培にまつわる問題点について整理し、問題解決のために活動するNGOについて調べる。またmanabaの課題にも取り組む。

20回
20. 綿花栽培とオーガニック・コットン—中国・ウズベキスタンを事例として
綿花栽培における現状と問題点について、さらに中国やウズベキスタンの事例から学ぶ。企業と持続可能なサプライチェーンについて理解を深める。

事前学習
[事前学習 2hrs] 綿花をキーワードに、生産国である中国やウズベキスタンについて、またその現状について調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 綿花栽培にまつわる問題点についてさらに理解を深め、関連する企業について調べる。またmanabaの課題にも取り組む。

21回
21. スマートフォンと私たちの繋がりーコンゴ共和国を事例として
携帯電話を使用している私たちと、携帯電話に欠かすことができないレアメタル、またそれを産出する国で起きている問題点について、コンゴ共和国を事例に考察する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載されている資料を読み、問題の背景について理解する。また、コンゴ共和国について調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業や配布資料から、解決に向けての取り組みや、その可能性とさらなる問題点について自分なりに考え、manabaの課題に取り組む。またプレゼンテーションに向けて準備を行う。

22回
22. スマートフォンと私たちの繋がりーエシカル携帯とサーキュラー・エコノミー(循環型経済)
携帯電話を使用している私たちとレアメタル、またそれを産出する国で起きている問題点について、さらに理解を深める。また、エシカル消費やサーキュラー・エコノミー(循環型経済)について考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載されている資料を読み、問題の背景についてさらに理解する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業や配布資料から、問題の背景を探り、解決に向けての取り組みについて考える。またmanabaの課題に取り組む。

23回目
23. 東アジアの成長モデルから南アジアへーバングラデシュの繊維工場を事例として
ファストファッションとバングラデシュの繊維産業、そして私たちとの繋がりについて、SDGsと関連づけながら考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載されている資料を事前に読み、問題の背景について理解する。またバングラデシュについて調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業や配布資料から、問題の背景を探り、解決に向けての取り組みについて考える。またmanabaの課題に取り組む。

24回
24. 東アジアの成長モデルから南アジアへーエシカル消費とは
バングラデシュの繊維産業とその問題点を取り上げ、利益至上主義による弊害とサプライチェーンの問題点についてさらに理解を深める。これらを踏まえて、企業はどうあるべきか、また消費者はどうあるべきかを考える。エシカル消費についても考察する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載されている資料を事前に読み、問題の背景についてさらに理解する。またキーワードの意味を事前に調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 発表するテーマを決め、発表内容をまとめる。パワーポイント原稿を作成し、発表の準備を行う。

25回
25. プレゼンテーションとディスカッション
私たちの生活と途上国の貧困はどのように結びついているかを考え、プレゼンテーションを行い、ディスカッションに繋げる。
事前学習
[事前学習 2hrs] 各自がプレゼンテーションに向けての準備を行う。
事後学習
[事後学習 2hrs] 発表やその後のディスカッションを踏まえて、自分なりに意見をまとめる。それらをmanabaに提出する。

26回
26. 振り返りとまとめ
授業を振り返り、学んだことの要点をまとめるとともに、多国籍企業や先進国の消費者として責任を考える。グリーンウォッシュ・SDGウォッシュに陥らないこと、また大学生としてできる方策について考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] これまでの授業を振り返り、自分なりに要点をまとめる。
事後学習
[事前学習 2hrs] 授業を踏まえ、開発課題の達成に向けて取り組むべきこと、また大学生としてできることを考える。各自が期末レポートに取り組み、manabaに提出する。

試験及び成績評価
中間レポート・期末レポート・プレゼンテーション・小テストを実施する。評価配分は以下の通りとする。
○中間レポート:  20%
○期末レポート:  40%
○小テスト(manabaの課題)への取り組み:  20%
○発表・ディスカッションへの貢献度:   20%

課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
○授業の課題または小テストについては、原則として次の授業内で解説する。

○提出されたレポート課題は、manabaを通じてコメントする。再提出を求められた場合も、manabaに提出すること。
○履修者への連絡はmanabaで行う。教員への質問は、manabaの掲示板を活用すること。
○教員から学生の皆さんへ個別の連絡が必要な場合は、JIUメールを利用する。



講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
特に指定しない。授業時に適宜プリントを配布する。
参考文献・推薦図書
『国際開発学入門—開発学の学祭的構築』 大坪滋他編/勁草書房/ISBN978-4-326-50327-8
『国際関係理論』 吉川直人・野口和彦/勁草書房/ISBN-978-4-326-30244-4
『ラテンアメリカ従属論の系譜』 クリストバル・カイ・吾郷健二監訳/大村書店/ISBN4-7563-2029-5
『世界システムと女性』 マリア・ミース他・古田睦美・善本裕子訳/藤原書店/ISBN4-89434-010-0
『南北問題と開発教育—地球市民として生きるために』/田中治彦/亜紀書房/ISBN4-7505-9420-2
『人新世の「資本論」』/斎藤幸平/集英社新書/ISBN978-4-08-721135-1
『私たちが国際協力する理由—人道と国益の向こう側』/紀谷昌彦・山形辰史/日本評論社/ISBN978-4-535-55945-5
『開発援助の経済学:「共生の世界」と日本のODA』/西垣昭他/有斐閣/ISBN978-4-641-16338-6
『植民地化の歴史—征服から独立まで』/マルク・フェロー・片桐祐・佐野英一訳/新評論/ISBN978-4-7948-1054-0
『奴隷船の歴史』/マーカス・レディカー・上野直子訳/みすず書房/ISBN978-4-622-07892-0
『甘いバナナの苦い現実』/石井正子編/コモンズ/2020年/ISBN978-4-86187-167-2
『グローバル経済と現代奴隷制—人身売買と債務で奴隷化される2700万人』/ケビン・ベイルズ・大和田英子訳/凱風社/ISBN978-4-7736-3804-2
『世界商品と子供の奴隷—多国籍企業と児童強制労働』/下山晃/ミネルヴァ書房/ISBN978-4-623-05363-6
『ファストファッションはなぜ安い?』/伊藤和子著/コモンズ/ISBN978-4-86187-126-9
『SDGsと開発教育:持続可能な開発目標のための学び』/田中治彦他/学文社/ISBN978-4-7620-2649-2
『資源問題の正義—コンゴの紛争資源問題と消費者の責任』/華井和代/東信堂/ISBN978-4-7989-1385-8


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