シラバス情報

授業科目名
開発と女性
学年
3年
単位数
2単位
実務経験の有無
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
川野 有佳、本年度開講せず
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
東金キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
授業では、国際開発・協力に開発と女性 (WID) やジェンダーと開発 (GAD)といったアプローチが登場した背景を探り、ジェンダーの視点に立った開発の重要性について認識を深めていく。授業を通して視野を広げ、途上国社会におけるジェンダー課題について理解を深めるとともに、国際的な場で協働するために前提となる諸要素を身につける。国際社会の中での課題を自ら発見し、解決をはかる能力を培っていくことを到達目標とする。
授業の概要
(1) 科目名(英語名):  開発と女性 (Development and Women)
(2) 授業形態:  講義
(3) 内容:
女性やジェンダーという概念は、国際開発や国際協力の枠組みの中でどのように捉えられてきたか、またジェンダーの視点に立った開発はなぜ重要なのかを考え、理解を深めていく。開発と女性(WID)やジェンダーと開発(GAD)、ジェンダー主流化、ジェンダー分析といった概念や手法について学び、ジェンダー課題とその解決策について考える。また、日本が抱えるジェンダー課題についても取り上げ、ジェンダー平等に向けてのより体系的な理解と実践を目指す。
(4) 授業で主に使用する言語:  日本語

授業計画
1回
1. はじめに
この授業のねらいを理解し、授業スケジュールについて把握する。また、これから学んでいく開発課題や女性・ジェンダーに関する課題について考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] 事前にシラバスに目を通して、授業内容について把握する。またシラバスから、さらに興味を持った事柄について調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、用語などについて事前に調べておく。またmanabaの課題にも取り組む。

2回
2.女性とジェンダー
日常生活でみられる女性・ジェンダーに関する様々な疑問や矛盾、問題点について考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] 日常生活のなかでの女性・ジェンダーに纏わる問題について考え、ディスカッションに向けて準備する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、自分なりにまとめる。またmanabaの課題に取り組む。

3回
3. 性別役割分業・ジェンダー役割
性別役割分業・ジェンダー役割とは何か、また、その問題点について考える。性別役割分業は、文化や時代によっても変化していることを理解する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を事前に読み、要点を把握する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、manabaの課題に取り組む。また、次週のディスカッションに向けて、各自が準備する。

4回
4. 女性の労働と無償労働
専業主婦や無償労働(アンぺイド・ワーク)について、また労働におけるジェンダー格差について理解を深める。

事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、問題の背景について把握する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、自分なりに要点をまとめる。またmanabaの課題に取り組む。

5回
5. 女性にとっての損得・男性にとっての損得とは—グループワーク
女性や男性としての損得について考え、ディスカッションを行い、視点の違いやその背景を探る。
事前学習
[事前学習 2hrs] ディスカッションに向けて、manabaに掲載している課題に取り組み、自分なりに意見をまとめておく。
事後学習
[事後学習 2hrs] ディスカッションではどのような意見が出たか、またどのような意見の食い違いがあったかを振り返り、視点の違いについて考える。さらにmanabaの課題にも取り組む。

6回
6. ジェンダーイメージとメディアーグループワーク
メディアに潜むジェンダー・バイアスについて理解する。各グループに分かれ、日本をはじめ他のアジアの国々のCMや広告を検討し、次週のプレゼンテーションの準備を行う。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、ディスカッションの準備を行う。
事後学習
[事後学習 2hrs] グループで話し合ったことを踏まえて、パワーポイント原稿を作成し、発表の準備を行う。

7回目
7. メディアの中のジェンダー・バイアスープレゼンテーションとディスカッション
なぜこのようなジェンダー・バイアスがメディアに潜んでいるのかを考える。また、固定観念やバイアスをなくすための取り組みについて、各国のCMを踏まえながら、ディスカッションを行う。
事前学習
[事前学習 2hrs] グループ毎にプレゼンテーションができるよう、パワーポイント原稿を準備する。
事後学習
[事後学習 2hrs] プレゼンテーションで示された事例から、偏見について意見をまとめ、解決策について考える。さらにmanabaの課題にも取り組む。

8回
8. 開発を巡る多様な考え方—経済開発、社会開発、人間開発、参加型開発
経済開発と社会開発との違いについて考える。また、人間開発や参加型開発といった新たなアプローチについて学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、開発をめぐる様々な考え方について理解を深める。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、要点をまとめる。さらにmanabaの課題にも取り組む。

9回
9. 開発のなかでの住民参加
住民参加という概念が生まれた背景とその意義について学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、その背景について理解を深める。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、要点をまとめる。さらにmanabaの課題にも取り組む。

10回
10. 参加型開発と住民参加のパラドクスーネパールの村落振興・森林保全プロジェクトを例に
参加型開発という概念について、ネパールの事例からより深い理解を目指す。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、参加型開発という概念について、さらに理解を深める。また、ネパールという国の特徴について調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業や配布資料から、参加型プロジェクトの理想と現実について、要点をまとめる。またmanabaの課題にも取り組む。

11回
11. 開発のなかでの女性ー開発と女性(WID)とは
開発のなかでの女性の不在や、開発に女性を組み込むことが関心事となった背景について理解する。また、開発と女性(WID) アプローチについて学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料から、エスター・ボゼラップの主張について理解する。
事後学習
[事後学習 2hrs] WIDについて、理解したことを自分なりにまとめる。またmanabaの課題にも取り組む。

12回
12. ジェンダーと開発 (GAD) とは
ジェンダー概念について学ぶとともに、ジェンダーと開発 (GAD)について理解を深める。またなぜ開発に女性やジェンダーの視点が必要なのかを考え、さらにWIDとの概念上の違いについて理解する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料から、開発と女性(GAD)アプローチについて、またジェンダーという概念について予習する。また、なぜ開発に女性やジェンダーの視点が必要かを考える。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、GADやジェンダー概念についてまとめる。またmanabaの課題にも取り組む。

13回
13. WID/GADの相違点と女性政策の様々な政策アプローチ
WIDとGADの概念上の違いについて把握する。また、女性政策の様々なアプローチ(福祉、公正、貧困撲滅、効率アプローチ、エンパワーメントとジェンダー主流化)について概観する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、WIDとGADについて、概念上の違いがわかるように、要点をまとめておく。
事後学習
[事後学習 2hrs] 政策アプローチの違いをそれぞれ把握し、manabaの課題に取り組む。また、中間レポートを作成して、提出する。

14回
14. ジェンダー分析・ジェンダー・プランニングとは 
ジェンダー分析やジェンダー・プランニングはなぜ必要か、また女性が果たす3重の役割、アクセスとコントロールについて考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] 配布資料を読み、ジェンダー分析とその必要性について理解を深める。
事後学習
[事後学習 2hrs] ジェンダーの視点が欠けていることにより、どのような失敗例がみられたのかを学ぶ。またmanabaの課題に取り組む。

15回
15. C. モーザによる「実際的ジェンダー・ニーズ」と「戦略的ジェンダー・ニーズ」分析
これらの2つのジェンダー・ニーズとは何か、またどのような違いがあると考えられているのか把握する。
事前学習
[事前学習 2hrs] 「実際的ジェンダー・ニーズ」と「戦略的ジェンダー・ニーズ」のふたつのニーズについて、要点を整理する。
事後学習
[事後学習 2hrs] ニーズに関するクイズから何が言えるのか、自分なりにまとめる。またmanabaの課題にも取り組む。

16回
16. 女性の貧困と所得向上プログラムーグラミン銀行・マイクロファイナンス
女性はなぜ貧困に陥りやすいのか。また、それを回避するための所得向上プログラムや、グラミン銀行・マイクロファイナンスの取り組みとはどのようなものなのか、理解を深める。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、貧困の概念や女性が貧困に陥るメカニズムについて整理する。また、グラミン銀行の仕組みとその役割について予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、グラミン銀行・マイクロファイナンスの特徴についてまとめる。またmanabaの課題にも取り組む。

17回
17. グラミン銀行・マイクロファイナンスの疑似体験ーグループワーク
グラミン銀行・マイクロファイナンスの取り組みをより具体的に学ぶためにグループワークを行なう。またそれらが貧困削減に役立っているのかを考察する。
事前学習
[事前学習 2hrs] グループワークに取り組む前に、バングラデシュという国の特徴について調べておく。
事後学習
[事後学習 2hrs] ディスカッションを振り返り、マイクロファイナンスの貧困削減への可能性と限界について考察する。

18回
18. エンパワーメント概念について
エンパワーメントという概念について、フレイレなどを踏まえながら理解を深める。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、エンパワーメントを巡る多様な見方、考え方があることを理解する。
事後学習
[事後学習 2hrs] エンパワーメント概念について、自分なりに整理する。またmanabaの課題にも取り組む。

19回
19. グラミン銀行・マイクロファイナンスと女性のエンパワーメント
グラミン銀行やマイクロファイナンスはどのような取り組みか、またエンパワーメントの概念についても、さらに理解を深める。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、グラミン銀行・マイクロファイナンスとエンパワーメントとの繋がりについて考える。
事後学習
[事後学習 2hrs] グラミン銀行は女性のエンパワーメントとどう関わっているのか、自分なりに意見をまとめる。またmanabaの課題にも取り組む。

20回
20. エンパワーメント概念と力の剥奪モデル(反=エンパワーメントとしての貧困)
フリードマンのエンパワーメント概念と力の剥奪モデルについて学ぶ。
事前学習
[事前学習 2hrs] フリードマンによるエンパワーメント概念について学ぶ。
事後学習
[事後学習 2hrs] 日本とバングラデシュの世帯を比較し、自分なりに意見をまとめる。またmanabaの課題にも取り組む。

21回
21. グローバル・ジェンダー・ギャップ指数
グローバル・ジェンダー・ギャップ指数について学び、日本は下位にあることやその理由について理解する。またそれらを改善するために早急に取り組むべき課題を考える。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載されている資料を読み、日本が置かれている状況について学ぶ。
事後学習
[事後学習 2hrs] さらに日本と他国とを比較し、違いについて理解を深める。またmanabaの課題にも取り組む。

22回
22. SDGs目標5 ジェンダー平等の達成のために
SDGs目標5ジェンダー平等の達成について理解し、日本のSDGs目標の達成度と進捗状況を確認する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料を読み、SDGs目標5は何を目指しているのか理解する。また、日本の置かれた状況と課題について予習する。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、自分なりに要点をまとめる。またmanabaの課題に取り組む。

23回目
23. 児童婚と女性性器切除(FGM/C)の根絶のために
児童婚はなぜ起きるのか、また、どのような要因と深く結びついているのか理解を深める。さらに伝統や文化の名の下に行なわれている慣習と人権との関わりについて、特に女性性器切除(FGM/C)を事例として考察する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料や動画を参考に、児童婚やFGMが行われる背景について理解を深める。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、この慣習をなくすために何が必要か考える。またmanabaの課題にも取り組む。

24回
24. 月経衛生への対処 (MHM) と水と衛生 (WASH) の取り組み
学校やコミュニティにおいて取り組まれている月経衛生への対処 (MHM)と、その必要性について、特に女子の健康や教育と関連づけながら学ぶ。また、水と衛生(WASH) について、特にインドや東チモールを事例に学び、理解を深める。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載している資料から、水と衛生 (WASH) がどのような取り組みか予習する。またインドや東チモールについて調べる。
事後学習
[事後学習 2hrs] MHMについて、どのような取り組みが、特にインドで行われているかをまとめる。また企業が水と衛生にどのように関わっているのかについても、さらに調べる。manabaの課題にも取り組む。

25回
25. リプロダクティブ・ヘルス/ライツー日系企業の取り組みから学ぶ
リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは何か、またその達成に向けて、日系企業による取り組みについて理解する。
事前学習
[事前学習 2hrs] manabaに掲載されている資料を読み、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという概念について、理解を深める。
事後学習
[事後学習 2hrs] 授業を振り返り、自分なりに要点をまとめる。またmanabaの課題に取り組む。さらに期末レポート作成に取り組む。

26回
26. 授業の振り返りとまとめ
全ての授業を振り返り、学んだことの要点をまとめる。
事前学習
[事前学習 2hrs] 授業を通して学んだことを振り返り、自分なりに要点をまとめる。
事後学習
[事後学習 2hrs]  これまでの授業内容を踏まえ、manabaの課題に取り組む。また、期末レポートを作成し、提出する。

試験及び成績評価
中間・期末レポート・小テスト (manabaの課題) を実施する。評価配分は以下の通りとする。
○中間レポート:   20%
○授業中に実施する小テスト (manabaの課題):  20%
○期末レポート:   40%
○発表・ディスカッションでの貢献度:  20%

課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
○授業の課題または小テストについては、原則として次の授業内で解説する。

○提出されたレポート課題は、manabaを通じてコメントする。再提出を求められた場合も、manabaに提出すること。
○履修者への連絡はmanabaで行う。教員への質問は、manabaの掲示板を活用すること。
○教員から学生の皆さんへ個別の連絡が必要な場合は、JIUメールを利用する。


講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
特に指定しない。授業時に適宜プリントを配布する。
参考文献・推薦図書
『ジェンダーで学ぶ文化人類学』/田中雅一・中谷文美編/世界思想社/ISBN4-7907-1096-3
『世界システムと女性』/マリア・ミース他/藤原書店/ISBN4-89434-010-0
『アジア女性と親密性の労働』/落合恵美子・赤枝香奈子編/京都大学学術出版/ISBN978-4-87698-574-6
『ジェンダー論をつかむ』/千田有紀他/有斐閣/ISBN978-4-641-17716-1
『SDGsと開発教育ー持続可能な開発目標のための学び』/田中治彦他編/学文社/ISBN978-4-7620-2649-2
『知る・わかる・伝えるSDGsー貧困・食料・健康・ジェンダー・水と衛生』/学文社/ISBN978-4-7620-2923-3
『市民・政府・NGO:「力の剥奪」からエンパワーメントへ』/ジョン・フリードマン・斉藤千宏・雨森孝悦監訳/新評論/ISBN4-7948-0247-1
『ジェンダー・開発・NGO: 私たち自身のエンパワーメント』/C.モーザ・久保田賢一他訳/新評社/ISBN4-7948-0329-X
『テキスト社会開発: 貧困削減への新たな道筋』/佐藤寛他/日本評論社/ISBN978-4-535-55488-7
『開発援助の社会学』/佐藤寛/世界思想社/ISBN4-7907-1151-X
『被抑圧者の教育学』/パウロ・フレイレ・小沢有作他訳/亜紀書房/ISBN4-7505-7907-6
研究室
東金キャンパス・H棟4階・406号室
オフィスアワー
S1:  火曜昼休み・3限
S2:     火曜3限・木曜3限
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