シラバス情報

授業科目名
ファミリーソーシャルワーク特論
学年
1年
単位数
2単位
実務経験の有無
〇(実務経験有)
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
福谷 理恵
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語で行う。
授業方法区分
開講キャンパス
オンライン
授業の到達目標及びテーマ
ファミリーソーシャルワークの主要な活動として、子どもの最善の利益を追究しながら支援を行う社会的養護があります。
社会的養護とは、「家族と共に安全な環境で安心して生活し成長することが困難な状況にある子どもたちを、親に代わって子どもを保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家族への支援を行うこと」を目的とした取り組みです。
本年度は、どのようにケーススタディに取り組むことが、子どもにとっての最善の利益の追究に繋がるかを中心に展開いたします。
受講生は、アセスメントのための基本的な手順や方法を身に付けることを学習目標とします。
授業の概要
「子どもにとっての最善の利益」や「子ども自身の意見を的確に把握する」ことは、ファミリーソーシャルワークにとって重要なテーマです。しかし、実際の子どもを前にすると、適切に情報を把握し判断することは非常に難しいことがわかります。ともすると周囲の大人は、「自分が重きを置く価値感」を子どもに投影して考えがちです。13回の授業を通して、子ども自身の気持ちを考慮しながら子どもや家族に対応していくためのアセスメントの技法について学習していく予定です。
授業概要の動画は、次のURLをクリックすると視聴できます。

https://youtu.be/9CAl0k_sh8w

授業計画
1回
ファミリーソーシャルワークとは何か、主要な活動である社会的養護の使命について概説する。日本の厚生労働省においては近年どのような法整備がなされてきているのかを軸に、現代社会のなかでの役割について述べる予定である。受講生には、特に「子どもの権利」についてしっかりと考えてもらいたい。
事前学習
「ファミリーソーシャルワーク」「社会的養護」とは、どのような活動であるのかをインターネット、あるいは書籍などで調べ、自分なりのイメージを持っておいてください。授業の最初に、自己紹介も兼ねて一人一言ずつ「ファミリーソーシャルワークとはどのような活動か」をコメント欄に書けるように準備しておいてください。
事後学習
近年、どのような事件が起こり、ファミリーソーシャルワークに携わる職員にはその予防のためにはどのような心構えが必要かを、インターネットや書籍で調べて考え、復習してください。

2回
ファミリーソーシャルワークの歴史的変遷について学ぶ。現在、日本だけでなく世界中の多くの国で少子高齢化が大きな社会問題として認識されるようになった。「いかに少子化を克服するか」「子どもの権利を考慮し、子どもの健全育成を社会でどのように支えるか」は、いろいろな国で社会的課題として日々取り上げられている。しかし、そのような社会的認識になってきたのは、人類史上ではごく最近のできごとであり、課題も山積している。第2回目の授業では、社会が現在のような「子どもの権利」を考慮するようになるまでの歩みについて知識を深めることを目的とする。
事前学習
「子どもの権利」について、どのような記事があるのかを検索しておいてください。
事後学習
授業のスライドを見返し、自分の修士論文にも役立ちそうなテーマがあれば、さらに深めるたえに検索して文献を探してください。

3回
「施設養護」と「家庭(的)養護」について概説する。また、事例を通して、人間関係の作り方について学んでいきたい。
事前学習
「施設養護」と「家庭(的)養護」について、調べておいてください。
事後学習
授業の事例を読み返し、自分が専門職として携わるときにはどのような心構えや視点をもつようにすべきかを考察してもらいたい。

4回
支援の計画と記録および自己評価について、全体的な概説を行う。子ども自身の最善の利益を的確に把握するための一番重要な活動であり技術である。この活動は、子どもや家族が他の都道府県に引っ越しをしたとしてもきちんと引き継げるように文書にしなくてはならない。
事前学習
「個別支援計画」とはどのようなものであるのかを調べておいてください。
事後学習
個別支援計画がきちんと引き継ぐことができなかった場合には、どのようなトラブルが起こるのだろうか。子どもの最善の利益を考えて対応するためには、どのようなことが必要であるのかについて、考察してみてください。

5回
ファミリーソーシャルワーク、社会的養護に関する動画を視聴する。視聴する際に注意する3つの観点は、①子どもに関わる大人の方針がバラバラだと子どもがどのような不利益をこうむるのだろうか、②子育てに携わる親の苦労や努力(例えば、フルタイムで就労する母親のタイムプレッシャーや社会的役割の切り替え(or社会的役割を同時に重複しながらこなす)状況、親が障がいを持つ場合、など)についても考える、③「子ども自身の意見をきちんと把握する」「子どもの最善の利益を考慮する」ことができる関わり方とはどのような関わり方か、である。この3点を押さえながら視聴してもらう。
事前学習
以下について、論文やネット検索をして調べ、関心を持っておくこと。
①子どもに関わる大人の方針がバラバラだと子どもがどのような不利益をこうむるのだろうか。
②子育てに携わる親の苦労や努力(例えば、フルタイムで就労する母親のタイムプレッシャーや社会的役割の切り替え(or社会的役割を同時に重複しながらこなす)状況、親が障がいを持つ場合、など)について。
③「子ども自身の意見をきちんと把握する」「子どもの最善の利益を考慮する」ことができる関わり方とはどのような関わり方か。
事後学習
今回の授業の感想を視聴する際に注意する3つの観点から書いて、次回の授業までに提出してもらう。

6回
アセスメントの技法①
前回までの授業で、「大人の思い込みを子どもに投影して子どもの気持ちを解釈しようとすると、子どもは大きな不利益をこうむりかねない」、またケースに関わる職員の方針がバラバラな場合には、子どもや家族が困る」ということが理解できてきたと思う。ケースの理解は、名人芸的に独りよがりで行ってはならない。第6回目では、アセスメントの技法に取り掛かる手順の基本を学ぶ。授業の中で課題にとりくんでもらう。
事前学習
ファミリーソーシャルワークにおけるアセスメントについて、調べておく。
事後学習
授業のスライドを読み返し、関心のある事柄についてはさらに自分で調べて知識を深めよう。

7回目
アセスメント②
日常生活の中での子どもの状態像を把握するには、どのようなことを留意しながら行うかについて学ぶ。授業の中で課題にとりくんでもらう。
事前学習
「初めて会う子どもを理解するためには、どうしたらよいのか」について考え、子どもとのラポールの築き方を調べておく。また、子どもの発達段階ごとの遊び方や関わり方についても調べておく。
事後学習
授業のスライドを読み返し、関心のある事柄についてはさらに自分で調べて知識を深めよう。

8回
アセスメント③
子どもの状態の後ろにある背景要因を把握する(1)
養育ヒストリーを押さえて情報を整理し、支援の場での対応方法や目標に役立てるには、どのように情報を整理すればよいのかについて学ぶ。
事前学習
子ども一人ひとりのライフヒストリーをとらえ、情報を整理するにはどうしたらよいのかについて、ネットや文献を読んで調べておく。
事後学習
授業のスライドを読み返し、関心のある事柄についてはさらに自分で調べて知識を深めよう。

9回
アセスメント④
子どもの状態の後ろにある背景要因を把握する(2)
生育歴とならんで重要な背景要因として、家族がある。今回は、家族をとらえる視点とその内容について学ぶ。
事前学習
子どもの家族に関する情報をどのようにファミリーソーシャルワークの現場では支援に役立てているのか、また家族と接するときの心構えについて、文献やネット検索などをして調べておく。
事後学習
情報の聞き取りに当たっての留意点を見直すこと。「超プライバシーである」ことを自覚して対応するための心得を見直し、押さえておくこと。

10回
アセスメント⑤
子どもの後ろにある背景要因を把握する(3)
現在の要因A「場面と子どもの様子」、現在の要因B「見えることと見えにくいこと」の2点を押さえながら援助方針を立てるには。
事前学習
子どもは場面ごとに異なる態度を示したりすることを踏まえ、どのように情報を収集して分析すれば子どもにとっての最善の利益につながるのかを調べ、考える。
事後学習
日常生活では場面ごとに刺激は異なる。場面ごとの環境刺激は、子どもの目に見える反応だけでなく、子どもの内面における「意欲の高まり」にも影響を与えている。応用行動分析学の知識などもふりかえりながら、子ども一人ひとりに応じた環境作りについて考察を深めよう。

11回
アセスメント⑥
心理査定・評定・医学所見
ここでは、ファミリーソーシャルワークに用いられるいくつかの心理検査や心理評定の概要と医学的診断の意味を理解する。
事前学習
ファミリーソーシャルワークの現場では、どのような心理査定法が用いられるかについて調べておく。
事後学習
授業のスライドを読み返し、関心のある事柄についてはさらに自分で調べて知識を深めよう。

12回
アセスメント⑦
カンファレンスのあり方について
的確なアセスメントを行い、子どもにとっての最善の利益が得られるような支援を実現していくためには、チームによるカンファレンスが極めて有効である。また、チームでケースに取り組むことは、職員のバーンアウトも予防していくことに繋がる。ここでは、ケースカンファレンスのあり方について学ぶ。
事前学習
ファミリーソーシャルワークのカンファレンスには、どのようなメンバー(職員・専門家など)が参加し、どのようなことを話し合うのかについて、ネット検索などをしてイメージを持っておく。
事後学習
情報の共有と同時に守秘義務についてもしっかりと押さえながら復習をすること。

13回
まとめ ファミリーソーシャルワークの現場で、子どもや家族に関わる職員としての心構えについて。
これまでの授業を振り返りながら、皆さんの質問事項についても考える時間を持ちたい。
事前学習
これまで修行で学んだことを見返しながら、質問事項があれば書き出しておくこと。
事後学習
全13回の授業を通して、これからの自分の職業や人生にどう役立てていくことができるかを考えてほしい。

14回
事前学習
事後学習

15回
事前学習
事後学習

16回
事前学習
事後学習

17回
事前学習
事後学習

18回
事前学習
事後学習

19回
事前学習
事後学習

20回
事前学習
事後学習

21回
事前学習
事後学習

22回
事前学習
事後学習

23回目
事前学習
事後学習

24回
事前学習
事後学習

25回
事前学習
事後学習

26回
事前学習
事後学習

試験及び成績評価
課題の提出状況と最終レポートにより評価を行う。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
授業の中で開設した中からレポート課題を出す。
特に、子どもの年齢が低い場合には「子ども自身の意思」をくみ取ることが困難な場合が多い。「どのように接する必要があるのか」「どのように子どもの意思を理解するのか」について、各自が考察を深めていける課題を出す予定である。
提出されたレポートについてのフィードバックはメールで行いたい。
講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
子どもの未来を支える社会的養護
小野澤昇/大塚良一/田中利則編著
ミネルヴァ書房
978-4-623-08665-8
参考文献・推薦図書
『社会的養護内容』春見静子・谷口純世編著 光生館 ISBN978-4-332-51043-7
研究室
オフィスアワー
科目ナンバリング
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