Syllabus data

授業科目名
Introduction to Japanese Culture
学年
2Grade
単位数
2.00Credits
実務経験の有無
開講クォーター
semester not specified
担当教員
Inoue Toshiaki
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
Togane Campus
授業の到達目標及びテーマ
本科目は、国際人文学部国際文化学科及び国際交流学科における専門科目群Iにあたる科目である。配当年次は2年次以上なので、1年生の履修は出来ない。
本科目では、過去に刊行された「日本人・日本文化論」のなかから、文化人類学・社会人類学者による2つの著作すなわち、ルース・ベネディクト『菊と刀』、中根千枝『タテ社会の人間関係』を取り上げ、そこでの主張や一般に流布されている日本人・日本文化に対するイメージや言説を批判的に検討し、そこから現代の日本社会における「日本(の)文化」について考察する。本科目では、履修生が、思い込みや固定観念、偏見を排して、客観的相対的に現代の「日本(の)文化」を捉え、その知見を社会生活に活用していく力を身につけることを目標とする。
授業紹介動画URL:https://drive.google.com/file/d/1zfDeIOslzlWzxHtz2w_LLNFX0hd-aFHM/view?usp=sharing
授業の概要
①科目名:日本文化論 (Theories of Japanese culture)
②授業形態:すべて対面授業による講義形式
③内容:本科目は、全て対面授業で行う。ただし感染症防止などの観点から大学の指示・要請があった場合は、それに従って授業形態を変更することがある。
授業は次の順番で進む。まず本科目を履修するにあたって理解しておくべき概念について確認する。次にルース・ベネディクト『菊と刀』、中根千枝『タテ社会の人間関係』に関して、その主張を批判的に検討していく。最後にこれらの著作の検討によって得られた知見を総合し、人口に膾炙している根拠の乏しい「日本人像」「日本文化像」の固定観念や偏見を取り除きながら、現代の「日本(の)文化」について考察していく。本科目は基本的に講義形式をとるが、履修生が考察し課題提出する機会を多く設け、授業もその解答に基づいて議論を深めていく。

授業計画
1回
〈対面授業〉「はじめに」
本科目を履修する際に求められる基本姿勢や順守すべきルールを理解し、授業内での議論に参加したり、事前事後学習を行ったりするうえで必要な技術を習得する。
到達目標:本科目を履修する際に求められる基本姿勢や順守すべきルールを理解できる。授業内での議論に参加をするうえで、また本科目に関する自己学習を行ううえで必要な技術を身につける。
事前学習
(2h)これまで授業を受講する際にどのような点に気を付けてきたか、回答できるようにしておく。
事後学習
(2h)この回で学んだ方法に従って、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、この方法に習熟しておく。

2回
〈対面授業〉「「日本人」とは」
「日本人」とはどのような人(々)を指す概念なのか、そこに潜む問題点や概念の混乱も含めて考察する。
到達目標:普段使っている「日本人」という概念の曖昧さや混乱、問題点について自分自身の問題として理解・説明ができる。
事前学習
(2h)自分は「何人」と考えるか、根拠を示して説明できるようにしておき、その内容を提出期限までに提出しておく。ただし、説明・表明したくないことに踏み込む必要はない。他の履修生に伝えても良い範囲で考えること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、今回の授業で学んだ諸概念について整理しながら理解し、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。

3回
〈対面授業〉「「文化」とは」
「文化論」を検討する際に不可欠な「文化」という概念について、文化人類学の視点から検討する。
到達目標:「文化」という概念について、説明できるようになる。
事前学習
(2h)「文化」とは何か、自分なりに定義し、発表できるように準備し、その内容を提出期限までに提出しておく。何かを調べた場合には出典を明示できるようにしておくこと。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、「文化」という概念について授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。

4回
〈対面授業〉「『菊と刀』①:ベネディクトによる日本研究の背景とメソッド」
ルース・ベネディクトによる日本研究の社会的背景とベネディクトが採用した研究手法・研究姿勢について考察する。
到達目標:『菊と刀』に結実したルース・ベネディクトの日本研究の社会的背景とベネディクトが採用した研究手法・研究姿勢について理解できる。
「『菊と刀』②:社会の中で「所を得る」」
ルース・ベネディクトの『菊と刀』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、ルース・ベネディクトが日本文化の特徴として指摘した「所を得る」という概念について検討する。
到達目標:ルース・ベネディクトが指摘した「所を得る」という日本文化の特徴について、その解釈の妥当性も含めて理解し、自分の経験に照らし合わせて考察することができる。
事前学習
(2h)『菊と刀』第1〜4章を読み、疑問点を抽出しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、ルース・ベネディクトの日本研究の社会的背景とベネディクトが採用した研究手法・研究姿勢、またルース・ベネディクトが指摘した「所を得る」という日本文化の特徴について授業内容を復習しておく。

5回
〈対面授業〉「『菊と刀』③:「恩」と「義理」」
ルース・ベネディクトの『菊と刀』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、ルース・ベネディクトが日本文化の特徴として指摘した「恩」と「義理」という概念について検討する。
到達目標:ルース・ベネディクトが指摘した「恩」と「義理」という日本文化の特徴について、その解釈の妥当性も含めて理解し、自分の経験に照らし合わせて考察することができる。
事前学習
(2h)『菊と刀」の第5〜7章を読み、疑問点を抽出しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、ルース・ベネディクトが指摘した「恩」と「義理」という日本文化の特徴について授業内容を復習しておく。

6回
〈対面授業〉「『菊と刀』④:「汚名をすすぐ」「人情」「徳」」
ルース・ベネディクトの『菊と刀』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、ルース・ベネディクトが指摘した「汚名」「人情」「徳」という概念について検討する。
[到達目標]:ルース・ベネディクトが指摘した「汚名」「人情」「徳」という日本文化の特徴について、その解釈の妥当性も含めて理解し、自分の経験に照らし合わせて考察することができる。
事前学習
(2h)『菊と刀」の第8〜10章を読み、疑問点を抽出しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、ルース・ベネディクトが指摘した「汚名」「人情」「徳」という日本文化の特徴について授業内容を復習しておく。

7回目
〈対面授業〉「『菊と刀』⑤:日本の社会的教育・文化の伝承」
ルース・ベネディクトの『菊と刀』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、日本の社会的教育、文化の伝承について検討する。
到達目標:ルース・ベネディクトが指摘した日本の社会的教育、文化の伝承の特徴について、その解釈の妥当性も含めて理解し、自分の経験に照らし合わせて考察することができる。
「『菊と刀』⑥:多文化共生への視点」
ルース・ベネディクトの『菊と刀』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、ルース・ベネディクトが提唱した「違いが安全に共存できる社会」について検討する。
到達目標:『菊と刀』の内容を批判的に検証し、そこから現代社会に活用可能な知見を得ることができる。
事前学習
(2h)『菊と刀」の第11〜13章を読み、疑問点を抽出しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。また全体を通読し直して、各回での議論も復習しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、ルース・ベネディクトが指摘した日本の社会的特徴の伝承、再生産について授業内容を復習しておく。またルース・ベネディクトが提唱した「違いが安全に共存できる社会」について授業内容を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。

8回
〈対面授業〉「『タテ社会の人間関係』①:中根千枝による日本研究の背景と方法論」
中根千枝による日本研究の社会的背景と中根が採用した研究手法・研究姿勢について考察する。
到達目標:『タテ社会の人間関係』に結実した中根千枝の日本研究の社会的背景と中根が採用した研究手法・研究姿勢について理解できる。
「『タテ社会の人間関係』②:「場」による集団の特性」
中根千枝の『タテ社会の人間関係』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、中根が日本文化の特徴として指摘した「場」および「場への参加」という概念を「資格」という概念と比較しつつ検討する。
到達目標:中根が論じた「場」「場への参加」という日本文化の特徴について、「資格」という概念と対比して理解し、自分の経験に照らし合わせて考察することができる。
事前学習
(2h)『タテ社会の人間関係』の第1〜2章を読み、疑問点を抽出しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、中根千枝による日本研究の社会的背景と中根が採用した研究手法・研究姿勢、また中根が日本文化の特徴として指摘した「場」「場への参加」という概念について授業内容を復習しておく。

9回
〈対面授業〉「『タテ社会の人間関係』③:「タテ」組織」
中根千枝の『タテ社会の人間関係』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、中根が日本文化の特徴として指摘した「タテ」組織という概念を検討する。
到達目標:中根が論じた「タテ」組織とそこに生じる序列、またそこに反映される人間観・組織観について理解し、自分の経験に照らし合わせて考察することができる。
事前学習
(2h)『タテ社会の人間関係』の第3〜5章を読み、疑問点を抽出しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、中根が日本文化の特徴として指摘した「タテ」組織やそこに生じる序列、またそこに反映される人間観・組織観について授業内容を復習しておく。

10回
〈対面授業〉「『タテ社会の人間関係』④:集団の構造的特色」
中根千枝の『タテ社会の人間関係』で描かれた日本文化像を検討する。この回では、中根が日本文化の特徴として指摘した「タテ」組織の集団的特色とくに「リーダーシップと派閥の関係」「権威主義と平等主義の力関係」について検討する。
到達目標:中根が論じた「タテ」組織の集団的特色について理解し、自分の経験に照らし合わせて考察することができる。
事前学習
(2h)『タテ社会の人間関係』の第6章〜おわりに(終章)を読み、疑問点を抽出しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、中根が日本文化の特徴として指摘した「タテ」組織の集団的特色について授業内容を復習しておく。

11回
〈対面授業〉「総合討論①:現代の視点からの検証」
これまで扱ってきた日本文化論での主張を振り返りながら、その内容を現代の視点で再検討する。
到達目標:現代社会における生活の在り方から、日本文化に関する言説を批判的に検討することができる。
事前学習
(2h)前回までの授業で扱った日本文化論の論点をノートに整理し、現代日本社会での生活において当てはまる事例を一つ挙げて考察しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。  

12回
〈対面授業〉「総合討論②:日本が直面する問題と日本文化」
これまで扱ってきた日本文化論での主張を振り返り、現代の日本社会が直面している社会問題と日本の文化との関連を再検討する。
到達目標:現代日本の文化的特徴が、社会問題の解決に取り組むうえでどのような影響があるか、考察することができる。
事前学習
(2h)現代の社会問題と日本文化の特徴との関連について、ひとつ事例を挙げて考察しておく。その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、現代の日本社会が直面している社会問題と日本の文化との関連について、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。

13回
〈対面授業〉「まとめ 日本文化を相対化して理解する」
本科目での議論を振り返り、日本文化に対する固定観念や偏見を取り除きながら、その特性を論じ、より良い社会を構築するための知見を得る。
[到達目標]:日本文化について、思い込みや固定観念を排し、相対化して論じることができる。
事前学習
(2h)これまでの授業内容を各回の事後学習でまとめ直したノートから復習し、議論を整理しておく。また、この授業で学んだことのうち、印象深かったこと、興味を持ったことについて、その理由も含めて説明できるようにし、その内容を提出期限までに提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、本科目で学んだ授業内容を改めて整理し、期末レポートの作成に備えておく。

14回
事前学習
事後学習

15回
事前学習
事後学習

16回
事前学習
事後学習

17回
事前学習
事後学習

18回
事前学習
事後学習

19回
事前学習
事後学習

20回
事前学習
事後学習

21回
事前学習
事後学習

22回
事前学習
事後学習

23回目
事前学習
事後学習

24回
事前学習
事後学習

25回
事前学習
事後学習

26回
事前学習
事後学習

試験及び成績評価
授業内課題及び期末レポートを課す。評価配分は以下の通り。
期末レポート:60%
授業内課題:30%
議論への参加:10%
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
授業では、各回の最後に、次回の授業の議論に向けた課題を課すので、履修生は提出期限までに提出すること。次の回の授業は、履修生が提出した課題への解答をレビューしながら、教員がコメントを付しつつ議論を進めていく。授業に参加しただけでは出席扱いにはならないので、必ず内容をよく理解したうえで、提出期限までに課題を提出すること。
授業や提出課題に対する質問、意見には、原則として1週間以内の授業内で回答・解説する。
講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
菊と刀
ルース・ベネディクト(角田安正 訳)
光文社古典新訳文庫
9784334751692
タテ社会の人間関係 単一社会の理論
中根千枝
講談社現代新書
9784061155053
入手できない場合は電子版でかまわない
参考文献・推薦図書
他に授業に必要な資料は適宜配布する。
研究室
東金キャンパス・H棟・H501
オフィスアワー
オフィスアワーは決定次第、授業内で伝える。履修者からの質問を歓迎する。
科目ナンバリング
学位授与方針との関連
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