教員名 : 井上 敏昭
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授業科目名
文化人類学
学年
1年
単位数
2.00単位
実務経験の有無
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
井上 敏昭
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
東金キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
本科目は国際人文学部国際文化学科および国際交流学科での専門基礎科目(2年次以上配当科目)である。全学部共通基盤科目としての「文化人類学」は来年度に開講するので、国際人文学部以外の学生が全学部共通基盤科目として履修する場合は、来年度に履修すること。
本科目は、多様性社会の中で様々な人々と相互理解をはかるために必要なものの見方・考え方を身につけるため、「文化」という視点から人間の様々な側面を考察する学問である「文化人類学」の知見や方法論の基礎を修得することを目的とする。 履修生は、人間や文化、社会に関する理解を深め、社会問題を考える力を身につけること、自分とは違う文化や価値観を有し自分とは異なる境遇に生きる人々と相互理解を図り、関係を構築する力を身につけることを目指す。 授業紹介動画:https://drive.google.com/file/d/1dnlZ5fN8cz2bYVPsySu-8ZGNlonBrVTl/view?usp=sharing 授業の概要
①科目名:文化人類学 Cultural Anthropology
②授業形態:対面による講義形式 ③内容:授業では、最初に、履修生の日常生活を振り返りながら、文化の様々な側面について考察する。次に、異文化社会に属する人々と関わって相互理解を図る際に生じる多様な問題を、文化人類学の理論や知見を用いて分析する。最後に、そのような関係構築・相互理解の方法として、民族誌的調査法によるアプローチの可能性を検討する。授業では毎回授業の最後に考察課題を提示し、次回授業までに提出された解答を授業内で共有しながら議論を進めていく。 授業計画
1回
【対面】「「文化」とは?」
本科目において中心的な概念となる「文化」について考察する。 到達目標:「文化」という概念について説明できる。 事前学習
(2h)「文化」という概念について自分なりに定義できるようにしておく。
事後学習
(2h)この回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、「文化」という概念について理解を深めておく。
2回
【対面】「言語と社会関係」
日常で多用する敬語などを教材として、言語から社会関係やアイデンティティについて考察する。 到達目標:言語と社会関係やアイデンティティとの関連について理解できる。 事前学習
(2h)履修生自身の母語における敬語の特徴について説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、言語と社会との関連について理解を深めておく。
3回
【対面】「宗教・儀礼」
日常生活で看過されがちな宗教や儀礼の意味について考察する。 到達目標:自らの生活に存在する宗教的な文化要素に気づき、その重要性を理解できる。 事前学習
(2h)自社会における宗教の状況について説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。ただし、説明・表明したくないことに踏み込む必要はない。他の履修生に伝えても良い範囲で考えること。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、宗教や儀礼の社会的機能について理解を深めておく。
4回
【対面】「食文化」
食に関する文化・習慣や共食・食物分配の重要性について考察する。 到達目標:食が単なる栄養摂取ではなく、様々な社会的文化的機能を有していることを理解する。 事前学習
(2h)自社会における食文化について説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、自社会の食文化を相対化して理解しなおしてみるとともに、共食・食物分配の意義についても理解を深めておく。
5回
【対面】「贈与・分配」
他の霊長類とは違い、なぜ人は他者に進んで分け与えるのか?贈与・分配について考察する。 到達目標:贈与行為の社会的機能について理解できる。また貨幣による売買との違いを説明できる。 事前学習
(2h)贈り物をした/された経験を分析し、その過程で何が起きていたのか説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示をした方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、贈与や分配の機能、売買との違いについて理解を深めておく。
6回
【対面】「分類体系と禁忌」
人間の認識体系の特徴である「分類」とそこから生じる「境界」、それに基づく「穢れ」「禁忌」の観念や排除の論理について学ぶ。 到達目標:人間の認識の特徴と、そこから生じる排除や差別などの諸問題について理解できる。 事前学習
(2h)前回の授業内で課された課題に従って「汚い」と感じる状況について分析し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、感情や価値判断の背後にある分類体系について理解を深めておく。
7回目
【対面】「生業形態と社会通念」
社会通念やいわゆる「常識」と生業の在り方の関連について考察する。また仕事の場で社会通念が形成・継承される際に大きな役割を果たす、実践コミュニティについて検討する。 到達目標:仕事の在り方が社会通念に大きな影響を及ぼすこと、すなわち生業が違えば社会通念が変わってくることを理解し、その知識を他者との相互理解に活用できる。様々な現場で生じている実践コミュニティについて理解できる。 事前学習
(2h)「一人前」とはどのような人か、自分の考えを説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、生業形態と社会通念の関係について理解を深めておく。また、大学生活やアルバイト先など自分の身の回りに見られる実践コミュニティについて考察しておく。
8回
【対面】「自文化中心主義と文化相対主義」
異文化を見る眼差し/異文化と接する態度の両極である自文化中心主義と文化相対主義について学ぶ。 到達目標:自文化中心主義と文化相対主義について理解するとともに、それぞれが抱える問題点を理解し、それを自己の行動に活かすことができる。 事前学習
(2h)前回の授業内で提示された異文化に対する言説について、自分の考えをまとめ、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、「自文化中心主義」「文化相対主義」という概念について理解を深めておく。自分の行動を振り返り、そのなかの自文化中心主義的態度について考察しておく。
9回
【対面】「オリエンタリズムと「消滅の語り」・「生成の語り」」
「悪気がなく」抱いてしまう偏見や差別について、「オリエンタリズム」という概念から読み解いていく。また「オリエンタリズム」という概念の問題点についても考察を加える。 到達目標:「オリエンタリズム」という概念を理解し、自己の中にあるオリエンタリズム的思考について気付き、それを是正することができる。 事前学習
(2h)前回の授業内で提示された報道の事例について考察し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、「オリエンタリズム」という概念について理解を深めておく。また、授業内での議論を踏まえ、マスメディアやSNSなどに見られる「消滅の語り」やオリエンタリズム的思考について考察しておく。
10回
【対面】「他者との相互理解の方法としてのエスノグラフィカル・アプローチ① すべての知覚・視点を総動員する」
他者との相互理解を図る方法論として文化人類学のエスノグラフィカル・アプローチについて学んでいく。この回では、一つのメソッドにとらわれず、様々な手法を駆使して多様なアプローチを積み重ねていく重要性について学ぶ。 到達目標:「エスノグラフィー」とは何か、「エスノグラフィカル・アプローチ」とはどのような方法論か、理解できる。 事前学習
(2h)他者理解がうまくいった自己の経験について考察し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、「現場の学」としてのエスノグラフィーについて理解を深めておく。
11回
【対面】「他者との相互理解の方法としてのエスノグラフィカル・アプローチ② 相互理解の場としてのフィールドワーク」
他者との相互理解を図る方法論として文化人類学のエスノグラフィカル・アプローチについて学んでいく。この回では、対等な立場で相互理解を図り、信頼関係を醸成する方法として、エスノグラフィカル・アプローチを検討する。 到達目標:他者との相互理解の方法として、エスノグラフィカル・アプローチを活用できるようになる。 事前学習
(2h)「自分のことを話してもよい人」とそうでない人はどう違うのか、考察し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、授業内での議論を踏まえて、自分の他者への向き合い方について分析しておく。
12回
【対面】「他者との相互理解の方法としてのエスノグラフィカル・アプローチ③ 様々な問題点」
他者との相互理解を図る方法論として文化人類学のエスノグラフィカル・アプローチについて学んでいく。この回では、「文化を語る権利」を巡る議論やポストコロニアル論などを紹介し、文化人類学のフィールドワークが抱える負の面を考察する。 到達目標:文化を語る権利はあくまでも当事者本人が優先されること、様々な現場で出会う者同士は対等な関係であるべきことが理解できる。 事前学習
(2h)前回の授業内で提示した被災地の報道をめぐる問題について、自分の意見をまとめ、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、授業内での議論に基づいて、他者との対等な関係を構築する重要性と難しさについて考察を深めておく。
13回
【対面】「まとめ 他者との相互理解に向けて」
本科目で学んだことを総括し、他者との出会いを通じた、これからの社会実践について考察する。 到達目標:本科目で学んだことを用いて、自らのキャリアにおいて、他者との相互理解、関係性の構築・改善ができるようになる。 事前学習
(2h)本科目で学んだことが、自分の人生にとってどのような意味を持ちうるか、それをさらに確かなものにするには、自分がこれから何をする必要があるのか考察し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回の授業で指示した方法に従い、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、他者との関係性の構築、相互理解の重要性について理解を深めておく。
14回
事前学習
事後学習
15回
事前学習
事後学習
16回
事前学習
事後学習
17回
事前学習
事後学習
18回
事前学習
事後学習
19回
事前学習
事後学習
20回
事前学習
事後学習
21回
事前学習
事後学習
22回
事前学習
事後学習
23回目
事前学習
事後学習
24回
事前学習
事後学習
25回
事前学習
事後学習
26回
事前学習
事後学習
試験及び成績評価
授業内課題及び期末レポートを実施する。評価配分は以下の通り。
期末レポート:60% 授業内課題:30% 議論への参加:10% 課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
授業では、各回の最後に次回の授業の議論に向けた課題を必ず課すので、履修生は提出期限までに提出すること。次の回の授業は、履修生が提出した課題への解答をレビューしながら、教員がそれにコメントを付しつつ議論を進めていく。
期末レポートへの評価は、UNIPA(JIU Universal Passport)の機能を用いて解答者にフィードバックする。 出席の確認は、UNIPAへの課題提出を以て行う。授業動画を視聴しただけでは出席扱いにはならないので、必ず内容をよく理解したうえで、提出期限までに課題を提出すること。 授業や提出課題に対する質問、意見は、UNIPAに投稿すること。原則として1週間以内の授業内で回答・解説する。 講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
内容が多岐にわたるのでテキストは定めない。必要な資料はオンラインでの事前配布をふくめ適宜配布する。
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参考文献・推薦図書
『人類学のコモンセンス 文化人類学入門』 浜本満・浜本まり子編(学術図書出版社/1994年/2000円+税)
『エスノグラフィー入門 〈現場〉を質的研究する』 小田博志(春秋社/2010年/3000円+税) 『私と世界 6つのテーマと12の視点』綾部真雄編(メディア総合研究所/2011年/1000円+税) *これら以外にも、授業の内容や履修生の興味に従い適宜紹介する。 研究室
東金キャンパス・H棟・H501
オフィスアワー
オフィスアワーは決定次第授業内で通知する。履修生の質問を歓迎する。
科目ナンバリング
学位授与方針との関連
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