シラバス情報

授業科目名
航空ビジネス
学年
1年
単位数
2.00単位
実務経験の有無
〇(実務経験有)
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
長谷川 正人
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
紀尾井町キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
エアラインビジネスに関する知識を習得するとともに、さまざまな問題について主体的に考える力を身につけることを目指す。
併せて、エアラインをケーススタディとして学んだビジネス戦略やアドミニストレーションの考え方を、他の産業においても応用できる能力の獲得を目標とする。

《授業内容紹介動画》
https://youtu.be/9TMCxJps6K4
授業の概要
本講義では、エアラインビジネスを多面的に学ぶ。航空産業の成り立ちや経営環境、航空会社の主要な職種の業務、安全、事業戦略などについて理解を深めるとともに、直面する課題を把握し、いかにしてこれらを解決していくべきかをともに考えていく。
38年間の航空会社勤務で培った豊富な実務経験を踏まえ、具体的な事例をふんだんに織り込みながら、双方向の授業を行う。
また、エアラインのみならずビジネス全般で広く活用できる知識や考え方の習得と、思考力・判断力を養うことを意識して授業を進める。

授業計画
1回
オリエンテーション
航空産業の現状と歴史
(到達目標)
・世界の航空産業の概要について説明することができる。
・航空産業に関わる国際的な枠組みや日本の規制について、説明することができる。
・航空業界の規制と競争のあり方について、変遷を踏まえ、自分の考えを表明できる。
事前学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の序章「航空事業の今」の、次の課題に取り組む。(2時間)
(11ページ)自分にとって「航空」とはどのような存在か、自分の生活にどのようにかかわって(寄与して)いるか、考察せよ。
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第1章「規制緩和による競争政策」(28〜47ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
・コロナ禍を経て航空旅客需要はどのように変化するか、自分の体験や想像力を用いて考察せよ。

2回
航空事業の特性と構造
(到達目標)
・日本の航空産業の概要について説明することができる。
・航空事業の特性について説明することができる。
・航空業界の競争構造を、5F分析を用いて説明することができる。
事前学習
他の産業との比較において、航空産業の特徴と言えるものは何か、調べる。(2時間)
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の序章「航空事業の今」(10〜26ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
・「5F分析」を使って、自分が関心のある業界の構造を分析せよ。

3回
日本の空港
(到達目標)
・日本の空港の現状と課題について、海外の空港とも比較して説明することができる。
・空港整備財源の仕組みや問題点について、事実をもとに説明することができる。
・空港を民営化することのメリットとデメリットを説明することができる。
事前学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第2章「空港整備と民営化」の、次の課題に取り組む。(2時間)
(61ページ)首都圏空港の機能強化が進まず、アジアの大都市空港との競争において後れをとる事態になった場合、日本経済に及ぼす影響を考えよ。
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第2章「空港整備と民営化」(50〜76ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(76ページ)自分自身が空港経営を行う場合、どの空港の民営化を手がけるか。
 また、どのように経営し、顧客目線で優れた空港に変えていくか。
 以下の点を踏まえて考察せよ。
 ①現状の空港運営の課題点
 ②将来のあるべき姿

4回
空港業務・整備・貨物事業
(到達目標)
・空港でのさまざまな業務の現状、課題と、今後の方向性について説明できる。
・航空機整備の仕組みやITを活用した至近の取り組みについて説明することができる。
・航空貨物の特性や仕組み、現状と課題について説明することができる。
事前学習
航空機で輸送されている貨物にはどのような品目があるか調べ、それらがなぜ航空機で輸送されているのか、考察する。(2時間)
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第8章「貨物事業」(168〜182ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(182ページ)「迅速性・安全性・定時性が高い一方、高コスト」という空運の特徴を踏まえ、今後どのようなものを航空貨物で取り扱うことがビジネス上有効か。
 あるいは、航空貨物を利用した新たなビジネスにはどのようなものがあるか。
 自由な発想で考え、提案せよ。

5回
乗務員とオペレーション
(到達目標)
・航空機乗務員の業務や責任、訓練・審査のあり方について説明することができる。
・チームの業務遂行能力を高める方法を、自分のチームに応用することができる。
・航空機がどのようにオペレーションされているか、運航支援の観点から説明できる。
事前学習
パイロットと客室乗務員にはそれぞれどのような資質が求められるか、考察する。(2時間)
事後学習
自分がこれまでチームとして活動してきた中で経験した「心理的安全性」について、誰の、どのような言葉や行動で「心理的安全性」を感じたのか、理由とともに考察する。(2時間)

6回
安全とリスクマネジメント
(到達目標)
・航空安全を脅かすさまざまな要因を分析し、対策を考えて、説明することができる。
・航空保安や機内での安全確保の取り組みについて説明することができる。
・企業リスク、オペレーションリスクへの対応や体制について説明することができる。
事前学習
過去にどのような航空事故が発生したか、また、それらの事故の概要や原因について、日本の航空会社を中心に調べる。(2時間)
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第10章「安全とリスクマネジメント」(200〜229ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(228ページ)自分は大学院生で、24時間後に試験を控えているとしよう(現在、午前10時)。
 自分が置かれた状況が以下の通りだとして、リスクを洗い出し、リスク対応を考えよ。
 ・10:30〜12:00に演習、13:00〜14:30に授業がある。午後の授業は録画視聴も可能。
 ・昼休みはいつも友人とランチを共にしている(ランチを断ったことはない)。
 ・恋人がいて、毎晩会うか、最低30分は電話で話している。
 ・6時間以上の睡眠を取らないと、午前中は頭がぼーっとしてしまう。

7回目
組織運営
(到達目標)
・企業経営における企業理念や行動規範の重要性について説明することができる。
・「アメーバ経営」に基づく経営管理や人財育成について説明することができる。
・「自律型人財」を育成する目的、意義や方法について説明することができる。
事前学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第11章「企業風土改革」の、次の課題に取り組む。(2時間)
(254ページ)今後、AIが人間の領域に占める割合が増えていく中、人にしかできないこととは何か。
 新しい価値を生み出していくために、人間は何をしていくことが必要と考えるか。
 自分自身は何をしていこうと思うか。
 以下の視点からそれぞれ考察せよ。
 ・人間とAIとの役割分担(人間+AI)
 ・AIを活用した付加価値向上(人間×AI)
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第11章「企業風土改革」(232〜254ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(254ページ)自分自身がこれまで「自律型」として「自ら考え行動した」事例から、その結果生みだされたもの、影響を与えたもの、自身が得られたものは何か、考えよ。
 一方、「依存型」となっていた事例から、なぜそうなったのか、それによる弊害はあったか、自身としてどう感じたかと考察せよ。

8回
グループ経営
(到達目標)
・企業がグループ経営を行う目的やさまざまな類型について説明することができる。
・航空業界におけるグループ経営の現状について、具体的事例をもとに説明することができる。
・グループ経営の手法と課題についての説明と、課題に対する自分の考えの表明ができる。
事前学習
さまざまな業界におけるグループ経営の実態について、日本の企業を中心に調べる。(2時間)
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第9章「グループ経営」(184〜198ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(198ページ)あなたが子会社の社長であるとしよう(業種は自分で決めて構わない)。
 グループの業績が悪化し、連結営業利益率が計画の15%を大幅に下回って5%程度まで落ち込む見通しとなったことから、親会社があなたの会社に対し、提供する商品(サービス)の品質を維持しつつ、親会社との契約単価を5%切り下げるよう求めてきた。
 さて、あなたは社長として、どのように対応するか。
 取るべき方策、親会社との交渉、社員に対するコミュニケーションについて、考察せよ。
 なお、あなたの会社の現在の営業利益率は10%とする。

9回
事業計画
(到達目標)
・航空会社のネットワーク戦略や路線便数計画を策定する流れについて説明することができる。
・複数の航空会社による共同事業の仕組みと具体的な施策について説明することができる。
・航空会社における新機材導入のプロセスや選定のポイントについて説明することができる。
事前学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第3章「ネットワーク戦略」の、次の課題に取り組む。(2時間)
(85ページ)自分が開設してみたいと考える路線はどこか(国際線、国内線を問わない)。
 その理由・根拠と、開設するために解決しなければならない課題を考察せよ。
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第3章「ネットワーク戦略」と第4章「アライアンス戦略」(78〜110ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(110ページ)最も強固な提携形態である資本提携には外資規制があるが、将来的に規制を撤廃し、航空会社が多国籍化することの是非、メリット・デメリットについて考えよ。

10回
マーケティング
(到達目標)
・航空会社が他社との差別化を図るための商品・サービス施策について説明することができる。
・収入最大化の重要な手法であるレベニューマネジメントについて説明することができる。
・マイレージプログラムの概要と、今後の戦略的展開の考え方について説明することができる。
事前学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第6章「マーケティングと商品・販売戦略」の、次の課題に取り組む。(2時間)
(145ページ)団体旅行から個人旅行への移行、ゼロ・コミッション化、Webによる直販の台頭の中で、旅行会社が提供する付加価値は何かを考察せよ。
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第5章「レベニューマネジメントと航空運賃の仕組み」と第6章「マーケティングと商品・販売戦略」(112〜150ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(148ページ)自社の「マイル経済圏」を拡大していくための施策として、どういったものが考えられるか。
 根拠とともに具体的な案を提案せよ。

11回
LCCビジネス
・LCCビジネスの特徴について説明することができる。
・FSCとLCCのビジネスモデルの差異について説明することができる。
・LCCビジネスの今後の展開について、自分の考えを説明することができる。
事前学習
宮古島への旅行を計画しているとして、どの航空会社のどの便にすべきか、各社のホームページを検索し、お奨めのプランを提案する。(2時間)
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第7章「LCCビジネス」(152〜166ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(161ページ)今後のLCCビジネスの展開について、マーケットや利用者のニーズの変化、FSCとの関係を踏まえ、考察せよ。

12回
SDGsの達成に向けて
(到達目標)
・SDGsについて、目的や概要を説明することができる。
・ESG経営とは何か、SDGsとの関連を含めて説明することができる。
・SDGsの達成に向けた航空業界の取り組みについて説明することができる。
事前学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第12章「社会課題の解決Ⅰ」の、次の課題に取り組む。(2時間)
(275ページ)国内の都市間交通の役割分担はどうあるべきか、SDGsの視点から考察せよ。
 また、航空機、新幹線それぞれのメリット・デメリットとして、どういったことが挙げられるかを、資料を参考にしながら多面的に考えてみよ。
 <資料>
 ▼温室効果ガスインベントリ
  http://www-gio.nies.go.jp/aboutghg/nir/nir-j.html
 ▼交通関係統計資料
  https://www.mlit.go.jp/k-toukei/
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第12章「社会課題の解決Ⅰ」(256〜276ページ)を読み、内容を理解するとともに、次の課題に取り組む。(2時間)
(275ページ)国連の食糧農業機関(Food and Agriculture Organization、FAO)の調査によると、世界中で生産されているすべての食品の約3分の1が廃棄処分となっており、その量は年間13億トンにのぼる。
 食品廃棄物は、人道的、環境的、経済的にもマイナスの影響を与える大規模な地球規模の問題といえる。
 機内食の食品廃棄を削減するには、どのような方法が考えられるか。
 具体的な取り組みについて、サービスをする航空会社社員の視点、サービスを受ける利用者の視点の両方から考察せよ。
 なお、現在は予約状況に応じて適正量を見極めて機内食を搭載し、消費期限のあるものや開封済みの飲み物について、サービスアイテムを有効活用すべく乗客へ声をかけるなど、目的地到着までの間に可能な範囲で積極的に提供するよう努めている。

13回
エアラインビジネスの今後
(到達目標)
・コロナ禍後を見据え、航空会社が取るべき戦略の方向性について説明することができる。
・JALグループ中期経営計画をケーススタディとして、戦略の基本的考え方を説明することができる。
・非航空事業領域への進出に関して、目的や概要を、具体的事例を交えて説明することができる。
事前学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第13章「社会課題の解決Ⅱ」の、次の課題に取り組む。(2時間)
(287ページ)ワーケーションやブリージャー、サテライトオフィス、デュアルライフ(2地域居住)、地方移住などを進めるために、地域や航空会社は上述*の事例以外にどのような施策に取り組むべきか、考察しなさい。
 *285〜287ページ
事後学習
テキスト「エアライン・マネジメント -戦略と実践-」の第13章「社会課題の解決Ⅱ」と終章「航空事業のこれから」(278〜317ページ)を読み、内容を理解する。(2時間)

14回
事前学習
事後学習

15回
事前学習
事後学習

16回
事前学習
事後学習

17回
事前学習
事後学習

18回
事前学習
事後学習

19回
事前学習
事後学習

20回
事前学習
事後学習

21回
事前学習
事後学習

22回
事前学習
事後学習

23回目
事前学習
事後学習

24回
事前学習
事後学習

25回
事前学習
事後学習

26回
事前学習
事後学習

試験及び成績評価
試験は実施せず、授業への貢献度(事前・事後学習課題の発表など)および期末レポートにより評価を行う。
評価配分は以下のとおり。
・授業への貢献度 25%
・期末レポート 75%
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
事前・事後学習課題について授業内で解説を行うとともに、提出された期末レポートに対する講評を個別にフィードバックする。
講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
エアライン・マネジメント -戦略と実践-
日本航空株式会社
インプレス
978-4-295-01505-5
主に事後学習で使用する。
参考文献・推薦図書
数字でみる航空 2022/国土交通省航空局/一般財団法人 日本航空協会/ISBN978-4-88912-603-7
エアライン・ビジネス入門(第2版)/稲本 恵子/晃洋書房/ISBN978-4-7710-3471-6
最新 航空事業論(第3版)/井上 泰日子/日本評論社/ISBN978-4-535-55948-6
研究室
東金キャンパス A棟4階 408
オフィスアワー
東金キャンパス
S1学期/水曜日2時限・水曜日3時限
S2学期/水曜日2時限・木曜日2時限
F1学期/水曜日2時限・木曜日4時限
F2学期/水曜日3時限・木曜日4時限
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