教員名 : 井上 敏昭
|
授業科目名
文化遺産
学年
2年
単位数
2単位
実務経験の有無
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
井上 敏昭
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
東金キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
本科目は、国際人文学部国際交流学科の専門科目群I(国際関係・国際協力)および、国際文化学科の専門科目群IV(言語・文化・社会関連)に相当する科目である。2年次以上の配当科目であるので、1年生の履修はできない。
「文化」は、担い手のそれぞれの世代で発展・改変・解体・再構築・再解釈を経ながら、次世代に伝達される。本科目では「遺産」という言葉を広く、前の世代からの「伝統(の継承)」として捉え、民族誌的知見を用いて「伝統」の諸相について学んでいく。さらに「世界遺産」の仕組みや、多様な「遺産」の在り方について学んでいく。単に文化遺産に関する知識を得るだけではなく、現代社会やその未来においてそれらが持つ意義やはたらきについて理解することが到達目標である。 授業紹介動画:https://drive.google.com/file/d/1cOzYLRYTmo1e0m9nJWxcs-hjPBvE6O1G/view?usp=sharing 授業の概要
科目名:文化遺産(Cultural heritage)
授業形態:全て対面による講義形式で行う 内容:本科目は、すべて講義形式の対面授業で行う。ただし、感染症予防などの理由で大学より指示・要請があった場合は、それに従って授業形態を変更することがある。 授業は次の順で進める。まず本科目の内容を理解するために必要な概念について学ぶ。次に先住民社会における「伝統の継承」に関する事例を検討し、文化を「遺産」として継承していくことについて考察を深めていく。次に「世界遺産」の概念や制度を検討し、その中に含まれる多様な「遺産」の在り方について学んでいく。最後に「伝統」や「文化遺産」が現代社会やその未来に対して持ちうる意味や、それを維持し伝えていく意義について考察する。 授業計画
1回
「はじめに」
本科目を履修する際に求められる基本姿勢や順守すべきルールを確認する。さらに、授業内での議論や自己学習を行ううえで必要な技術を具体的に学ぶ。 到達目標:本科目を履修する際に求められる基本姿勢や順守すべきルールを理解できる。授業内での議論や自己学習を行ううえで必要な技術を身につける。 事前学習
(2h)これまで授業を受講する際にどのような点に気を付けてきたか、回答できるようにしておく。
事後学習
(2h)この回で学んだ方法に従って、この回の授業内容についてノートをまとめ直し、この方法に習熟しておく。
2回
「「文化」「伝統」とは何か」
文化人類学の知見から、「文化」「伝統」という概念について検討する。さらに「伝統」を継承する際に、いかなることが起きているのか考察する。 到達目標:「文化」「伝統」という概念について、説明できるようになる。また「伝統を継承する」際に生じる様々な変化・転換・再解釈やそれと社会状況との関連について説明できるようになる。 事前学習
(2h)「文化」「伝統」とは何か、自分なりに定義し、提出期限までに課題を提出しておく。何かを調べた場合には出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、「文化」「伝統」という概念や「伝統」が継承される際に生じている様々な現象について授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
3回
「先住民社会における文化伝統1 狩猟としての文化」
北米亜極北地域の先住民「グィッチン」社会における狩猟採集文化を検討し、生き方としての狩猟漁労採集活動がいかなる重要性を有するか考察する。 到達目標:当該社会において生業活動が単なる生産・消費ではなく、「生き方に関する理念・哲学」として重要性を有することを理解できる。 事前学習
(2h)「先住民」とはどのような人々を指す概念か、自分なりに定義し、提出期限までに課題を提出しておく。何かを調べた場合には出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、生き方としての狩猟漁労採集活動の重要性について、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
4回
「先住民社会における文化伝統2 伝統言語継承の社会的意義」
北米亜極北地域の先住民社会における先住民言語継承などの事例を検討し、言語を受け継ぐことが現代社会でいかなる意義を持つのか考察する。また危機言語が置かれている状況についても理解を深める。 到達目標:伝統的な言語を維持・継承することが現代社会においていかなる意義を持ちうるのか理解できる。また危機言語の置かれた状況についても理解できる。 事前学習
(2h)自分の母語以外の言語を学ぶことは、「コミュニケーションに役立つ」こと以外にどのような意義があるか考察し、、提出期限までに課題を提出しておく。何かを調べた場合には出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、その集団の伝統的な言語を維持・継続・継承することが現代社会において持ちうる意義や、危機言語が置かれた状況について、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
5回
「先住民社会における文化伝統3 食物分配の社会的機能」
北米亜極北地域の先住民社会における食物分配の事例を検討し、伝統文化において社会的実践を行い続けることがいかなる重要性を有するか考察する。 到達目標:伝統文化において社会的実践を行い続けることがいかなる重要性を有するか理解できる。 事前学習
(2h)自分が属している社会の伝統食をひとつ挙げて説明し、提出期限までに提出しておく。何かを調べた場合には出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、伝統的な社会的実践が有する重要性について、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
6回
「先住民社会における文化伝統4 伝統を維持するための運動」
北米亜極北地域の先住民社会が直面している文化・社会伝統の危機と、それに抗する社会運動の事例を検討し、「伝統を継承する」上で重要な自己決定権と、それを不当に侵害されているマイノリティ社会・地域社会の置かれた状況について学ぶ。 到達目標:「伝統を継承する」上で重要な自己決定権の概念を理解できる。またそれを不当に侵害されているマイノリティ社会や地域社会が置かれている社会状況について、自己決定権の観点から理解できるようになる。 事前学習
(2h)「自己決定権(self-determination)」とはどのような権利か、調べ、提出期限までに課題を提出しておく。必ず出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、「伝統」を継承する上で重要な自己決定権の概念や、伝統継承にあたってマイノリティ社会や地域社会が置かれている社会状況について授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
7回目
「先住民社会における文化伝統5 伝統工芸:外来文化と伝統のオーセンティシティ」
北米各地の先住民社会において、外来の文化に由来しあるいは外来の技術や素材を用いているにもかかわらず「伝統工芸」として制作されて、その文化の象徴として扱われている工芸品の事例を検討し、伝統文化のオーセンティシティ(真正性)について考察する。 到達目標:「伝統」という概念が、単にその文化独自で編み出されたものを意味するのでなく、その歴史的経緯や社会状況、受け継がれている理念や価値観、そこから生じる担い手や受け手の評価などが複雑にかかわって成立する現象であることを理解できるようになる。 事前学習
(2h) 「とんかつ」は和食か洋食か、自分の考えをまとめて、発表できるようにしておくとともに、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、文化のオーセンティシティに関する議論について、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
8回
「世界遺産1 世界遺産の歴史と理念」
ユネスコが定めている「世界遺産(World heritage Site)」について、その制度の概要や分類、登録や抹消の基準、課題について学ぶ。 到達目標:世界遺産とはどのような制度か、登録の基準やその課題も含めて理解できるようになる。 事前学習
(2h)「世界遺産」という概念について定義できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。必ず出典を明記すること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、「世界遺産」という概念、制度およびこの制度が成立した歴史的経緯について、授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
9回
「世界遺産2 「モニュメント」「建造物群」「遺跡」」
世界遺産のなかの「文化遺産」に含まれる「モニュメント」「建造物群」および「遺跡」について、その特徴、とくに社会における意味や保存・継承すべき理由について学ぶ。 到達目標:「文化遺産」のうち「モニュメント」「建造物群」「遺跡」とは何か、またその社会における意味や保存すべき理由について説明できるようになる。 事前学習
(2h)履修生のそれぞれの出身国内に存在し世界遺産の一覧表に記載された「モニュメント」「建造物群」「遺跡」の例をそれぞれひとつずつ挙げて説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。何かを調べた場合には出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、「モニュメント」「建造物群」「遺跡」という概念やその社会における意味、保存すべき理由について授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
10回
「世界文化遺産3 「産業遺産」と「現代建築」」
世界遺産の制度の見直しにおいて打ち出された「世界遺産一覧表の代表性、均質性、信用性のためのグローバル・ストラテジー」に基づき「文化遺産」の項目として新設された「産業遺産」と「現代建築」について取り上げ、その特徴や社会における意味、保存すべき理由について学ぶ。 到達目標:「文化遺産」のうち「産業遺産」と「現代建築」とは何か、またその社会における意味や保存すべき理由について説明できるようになる。 事前学習
(2h)履修生のそれぞれの出身国内に存在し世界遺産の一覧表に登録された「産業遺産」「現代建築」の例をそれぞれひとつずつ挙げて説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。何かを調べた場合には出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、「産業遺産」「現代建築」という概念やその社会における意味、保存すべき理由について授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
11回
「世界遺産4 「文化的景観」と「無形遺産」」
世界遺産の制度の見直しにおいて打ち出された「世界遺産一覧表の代表性、均質性、信用性のためのグローバル・ストラテジー」に基づいて「文化遺産」の項目として新設された「文化的景観」と「無形遺産」について取り上げ、その特徴や社会における意味、保存すべき理由について学ぶ。 到達目標:「文化遺産」のうち「文化的景観」と「無形遺産」とは何か、またその社会における意味や保存すべき理由について説明できるようになる。 事前学習
(2h)履修生のそれぞれの出身国内に存在し世界遺産の一覧表に登録された「文化的景観」「無形遺産」の例をそれぞれ挙げて説明できるように準備し、提出期限までに課題を提出しておく。何かを調べた場合には出典を明らかにすること。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、「文化的景観」「無形遺産」という概念やその社会における意味、保存すべき理由について授業での議論を復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
12回
「文化遺産が地域にもたらすもの」
観光人類学における「文化の客体化」の議論などを踏まえて、世界遺産の一覧表記載などをきっかけに起こる「文化遺産の再発見」がもたらす地域社会での認識の変化・更新やそこで生じる文化摩擦・文化交流について、「生成の語り」の観点から論じる。 到達目標:文化遺産の再発見がもたらす地域社会での認識の変化・更新や、文化摩擦・文化交流について、事例を通じて理解できる。また「消滅の語り」「生成の語り」の概念を理解し、それに基づいて様々な言説を評価できる。 事前学習
(2h)他者(異文化)との出会い・交流によって、自文化に対する認識が改まった(変化した・気づかされた・強まった)事例をひとつ取り上げて考察し、提出期限までに課題を提出しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、文化遺産の再発見がもたらす地域社会での認識の変化・更新やそこで生じる文化摩擦・文化交流について、授業での議論を復習しておく。また「消滅の語り」「生成の語り」の概念についても復習しておく。履修生どうしで議論を深めておくことが望ましい。
13回
「まとめ 伝統・文化遺産が現代社会とその将来に持つ意義」
本科目で学んできた内容を総括し、「伝統」「文化遺産」という、一見過去にしか意味を持たないように見えるものが、我々が生きる現代社会や社会の未来においてどのような意味を持ち得るのか、それを継承することにはどのような意義を有しているのかについて考察する。 到達目標:文化遺産や伝統文化が現代社会とその将来に持つ意義について理解できるようになる。 事前学習
(2h)これまでの授業内容を各回の事後学習でまとめ直したノートから復習し、議論を整理しておく。
事後学習
(2h)初回授業で学んだ方法に従ってノートをまとめ直し、本科目で学んだ授業内容を改めて整理し、期末レポートの作成に備えておく。
14回
事前学習
事後学習
15回
事前学習
事後学習
16回
事前学習
事後学習
17回
事前学習
事後学習
18回
事前学習
事後学習
19回
事前学習
事後学習
20回
事前学習
事後学習
21回
事前学習
事後学習
22回
事前学習
事後学習
23回目
事前学習
事後学習
24回
事前学習
事後学習
25回
事前学習
事後学習
26回
事前学習
事後学習
試験及び成績評価
授業内課題及び期末レポート(いずれもオンラインでの提出)を実施する。評価配分は以下の通り。
期末レポート:60% 授業内課題:30% 議論への参加:10% 課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
授業では、各回の最後に、次回の授業の議論に向けた課題を課すので、履修生は提出期限までに提出すること。次の回の授業は、履修生が提出した課題への解答をレビューしながら、教員が適宜コメントを付しつつ議論を進めていく。授業に参加しただけでは出席扱いにはならないので、必ず内容をよく理解したうえで、提出期限までに課題を提出すること。
授業や提出課題に対する質問、意見は、原則として1週間以内の授業内で回答・解説する。 講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
内容が多岐にわたるのでテキストは定めない。
ー
ー
ー
ー
参考文献・推薦図書
『開発と先住民』岸上伸啓編(明石書店/2009年/6400円+税)
『文化遺産と生きる』飯田卓編(臨川書店/2017年/4000円+税) 『文明史の中の文化遺産」飯田卓編(臨川書店/2017年/4000円+税) 『社会学で読み解く文化遺産ー新しい研究の視点とフィールド 』木村至聖・森久聡編(新曜社/2020年/2800円+税) その他、授業時に適宜資料を紹介する。 研究室
東金キャンパス・H棟・H501
オフィスアワー
オフィスアワーは決定次第授業内で伝える。履修生の質問を歓迎する。
科目ナンバリング
学位授与方針との関連
関連ページ
|