教員名 : 秋元 雅之
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授業科目名
医療薬剤学B
学年
3年
単位数
2単位
実務経験の有無
〇(実務経験有)
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
押坂 勇志、秋元 雅之
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
東金キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
医療薬剤学Bで取り扱う薬物速度論は、主に薬物の血中濃度推移や尿中排泄推移を解析・予測することによって、薬物間相互作用の可能性や個々の患者における薬効や毒性の違いを明らかにすることが可能であり、医薬品の適正使用に欠かせない領域である。速度論的な手法により薬物の体内動態を数理的に解析できることが本講義の到達目標となる。
【関連するDP】2,3(PC2024)、1(PC2022-2023)、1 (PC2015-2021) 【関連するSDGs】3 授業の概要
① 必修科目
② Clinical Pharmaceutics B(英語科目名) ③ 2022改訂コアカリキュラム E1(1)、E4(1)(2)、薬学準備教育ガイドライン(3) ④ 授業形態:講義 ⑤ (授業の概要)治療を目的として投与された薬物は、必要量が作用部位に到達して薬効を発現する。作用部位での薬物濃度が低すぎれば十分な効果は得られず、高すぎれば有害な副作用が現れるようになる。また、薬効を得るためには、各々の薬物に適切な作用時間を保たなければならない。これら、薬物の量的 および時間的な効果を制御して適切な薬物治療を行うためには、薬物の生体内での動き、すなわち、薬物速度論:pharmacokineticsを理解することが必要であ る。医療薬剤学IIでは、コンパートメントモデル、生理学的モデルおよびモデルに依存しない解析法で薬物速度論を学習する。また、薬物の生体内での動きに 影響を及ぼす薬物相互作用について学習する。これらを通じて、安全で合理的な薬物投与計画を作成するための薬剤師としての基礎的な能力を養う。 授業は、前回の復習、当該回の講義および確認のための演習で構成する。 【主な学習方法】講義、演習、課題、試験など(オンライン、オンデマンドも併用) 授業計画
1回
コンパートメントモデル、生理学的モデルおよびモデルに依存しない解析法の基本的な考え方、特徴を学ぶ。体内動態における物質収支と薬物濃度の時間変化を理解し、一次反応速度論が適用できることが説明できる。血中濃度データのグラフ化を通して、薬物動態データの取扱いができるようになると共に、コンパートメントモデルの有用性を述べることができる。(担当教員:秋元)
E00600 : 薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)と薬効発現の関わりについて説明できる。 事前学習
教科書457-461ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、可能な限り参考図書の演習問題等にもチャレンジすることを薦める。(2 h)
2回
急速靜注後の薬物血中動態を解析し、その1次消失挙動を数式やグラフにより説明できる。線形1次速度に基づく解析により、生物学的半減期、消失速度定数、分布容積および全身クリアランス等の消失に関わるパラメータを計算できる。また、尿中データを用いた解析法について触れる。(担当教員:押坂)
E27300 : 線形コンパートメントモデルと、関連する薬物動態パラメータ(全身クリアランス、分布容積、消失半減期、生物学的利用能など)の概念を説明できる。 事前学習
事前に教科書462-473ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、可能な限り参考図書の演習問題等にもチャレンジすることを薦める。(2 h)
3回
血管内持続注入時における0次吸収1次消失の血中動態を数式化でき、図示できる。点滴投与時における定常状態血中濃度と終了後の血中濃度推移を予測し、解釈できる。(担当教員:押坂)
E27400 : 線形1−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる(急速静注・経口投与[単回および反復投与]、定速静注)。 事前学習
事前に教科書474-479ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジして、理解を確認することを薦める。(2 h)
4回
経口投与後の血中濃度推移をモデル化し、1次吸収1次消失過程の血中濃度推移を数式化して図示できる。経口投与後の吸収速度定数の変動に伴う血中濃度推移が予測できる。また、吸収速度定数、最高血中濃度、最高血中濃度到達時間等のパラメータおよび血中濃度推移のflip-flop現象を説明できる。(担当教員:押坂)
E27400 : 線形1−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる(急速静注・経口投与[単回および反復投与]、定速静注)。 事前学習
事前に教科書480-489ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジし、理解を確認することを薦める。(2 h)
5回
繰り返し(反復)静脈内および経口投与時の血中薬物動態を説明し、計算できる。また、定常状態の考え方が理解でき、投与計画を例示することができる。(担当教員:押坂)
E27400 : 線形1−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる(急速静注・経口投与[単回および反復投与]、定速静注)。 事前学習
事前に教科書496-501ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジして、理解を確認することを薦める。(2 h)
6回
生体を瞬時に分布する組織と、分布平衡に達するのに少し時間がかかる組織の二つに分けて考えて薬物動態を解析する方法を学習する。(担当教員:押坂)
E27400 : 線形1−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる(急速静注・経口投与[単回および反復投与]、定速静注)。 事前学習
事前に教科書490-495ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジして、理解を確認することを薦める。(2 h)
7回目
生理学的モデルの概念を説明でき、固有クリアランスに基づいた臓器クリアランスを計算できる。さらに、肝血流律速型あるいは肝固有クリアランス律速型薬物の区別が、数式を使ってできる。(担当教員:秋元)
E27700 : 組織クリアランス(肝、腎)および固有クリアランスの意味と、それらの関係について、数式を使って説明できる。 事前学習
事前に教科書508-523ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジして、理解を確認することを薦める。(2 h)
8回
肝抽出率、バイオアベイラビリティおよび初回通過効果を解釈できる。生物学的利用率(バイオアベイラビリティ)と生物学的同等性について説明ができる。バイオアベイラビリティの指標を列挙でき、相対的・絶対的バイオアベイラビリティについて計算ができる。(担当教員:秋元)
E27700 : 組織クリアランス(肝、腎)および固有クリアランスの意味と、それらの関係について、数式を使って説明できる。 E27300 : 線形コンパートメントモデルと、関連する薬物動態パラメータ(全身クリアランス、分布容積、消失半減期、生物学的利用能など)の概念を説明できる。 事前学習
事前に教科書625-636および518-519ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題に可能な限り取組み、理解を確認する。(2 h)
9回
薬物体内動態の非線形性をミカエリス−メンテン式を使って解釈ができ、その原因と現象を具体的な薬物を例に挙げて説明ができる。(担当教員:秋元)
E27500 : 体内動態が非線形性を示す薬物の例を挙げ、非線形モデルに基づいた解析ができる。(知識、技能) 事前学習
事前に教科書524-529ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にもチャレンジして、可能な限り理解を確認することを薦める。(2 h)
10回
モーメント解析法の概念を理解し、モーメントパラメータとコンパートメントパラメータの関係を説明できる。(担当教員:押坂)
E27600 : モーメント解析の意味と、関連するパラメータの計算法について説明できる。 事前学習
事前に教科書502-507ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
事後には配布する演習問題を復習するとともに、可能な限り参考図書等の演習問題に取組み、理解を確認する。(2 h)
11回
薬物動態(吸収・分布・排泄)に起因する相互作用の代表例をあげ、回避のための方法を説明できる。(担当教員:秋元)
E25500 : 薬物の吸収過程における相互作用について例を挙げ、説明できる。 E26200 : 薬物の分布過程における相互作用について例を挙げ、説明できる。 E27200 : 薬物の排泄過程における相互作用について例を挙げ、説明できる。 事前学習
事前に、教科書536-551ページおよび560-598ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジして、理解を確認することを薦める。(2 h)
12回
薬物動態(代謝)に起因する相互作用の代表例をあげ、回避のための方法を説明できる。(担当教員:秋元)
E26300 : 代表的な薬物代謝酵素を列挙し、その代謝反応が起こる組織ならびに細胞内小器官、反応様式について説明できる。 E26400 : 薬物代謝の第Ⅰ相反応(酸化・還元・加水分解)、第Ⅱ相反応(抱合)について、例を挙げて説明できる。 E26500 : 代表的な薬物代謝酵素(分子種)により代謝される薬物を列挙できる。 E26600 : プロドラッグと活性代謝物について、例を挙げて説明できる。 E26700 : 薬物代謝酵素の阻害および誘導のメカニズムと、それらに関連して起こる相互作用について、例を挙げ、説明できる。 事前学習
事前に、教科書552-558ページおよび564-587ページを読み、理解を深める。(2 h)
事後学習
演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジして、理解を確認することを薦める。(2 h)
13回
生体において、薬物は体内に入った後に薬物反応を引き起こす。そのため薬物動態と薬効・毒性の間には関連性がある。薬物動態を知ることにより、薬効・毒性を予測する解析法をPK-PD理論と呼び、様々な解析法が提唱されており、母集団解析にも取り入れられている。また、本講義回では、薬食間相互作用を含む薬力学に起因する相互作用の代表例をあげ、回避のための方法を説明できる。(担当教員:秋元)
E00800 : 薬理作用に由来する代表的な薬物相互作用を列挙し、その機序を説明できる。(E4(1)【②吸収】5.【④代謝】5.【⑤排泄】5.参照) 事前学習
教科書602-619ページを読み、あらかじめ理解を深める。(2 h)
事後学習
演習問題を復習するとともに、併せて参考図書等の演習問題にも可能な限りチャレンジして、理解を確認することを薦める。(2 h)
14回
事前学習
事後学習
15回
事前学習
事後学習
16回
事前学習
事後学習
17回
事前学習
事後学習
18回
事前学習
事後学習
19回
事前学習
事後学習
20回
事前学習
事後学習
21回
事前学習
事後学習
22回
事前学習
事後学習
23回目
事前学習
事後学習
24回
事前学習
事後学習
25回
事前学習
事後学習
26回
事前学習
事後学習
試験及び成績評価
定期試験100%。また、試験結果に対する課題を定期試験成績評価に含むことがある。定期試験までの総合評価で合格基準を超えなかった学生には追再試験(筆記試験 100%)を実施する。その他、確認試験結果を考慮する。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
授業時の演習問題については、次回授業内での解説、または解説コメントを配布します。各授業時の演習問題は必ず復習するとともに、該当範囲の問題を参考図書等を使って解くこと。
講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
図解薬剤学
森本雍憲ら著
南山堂
978-4-525-77836-1
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参考文献・推薦図書
演習と解説 薬物動態学 山崎 浩史・夏目秀視・橋爪 孝典 編、 廣川書店
「コンパス生物薬剤学 改訂第2版」南江堂 岩城正宏、伊藤智夫 編 「第5版 わかりやすい生物薬剤学」 辻 彰 編(廣川書店) 「入門薬物動態学」京都廣川書店 金尾義治 著 「徹底解説 薬物動態学の数学」廣川書店 九川文彦 編 研究室
秋元雅之 薬物動態学研究室 K棟K602 makimoto@jiu.ac.jp
押坂勇志 製剤物性解析学研究室 K棟K307 oshizaka@jiu.ac.jp オフィスアワー
秋元雅之
火曜⽇3、4限(K棟6階K602) 金曜日2限(K棟6階K602) 連絡先:makimoto@jiu.ac.jp 押坂勇志 月曜日1限、水曜日1限(K棟3階K307) 連絡先:oshizaka@jiu.ac.jp 科目ナンバリング
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