シラバス情報

授業科目名
制作演習G
学年
2年
単位数
2単位
実務経験の有無
〇(実務経験有)
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
宇田 夏苗
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語
授業方法区分
開講キャンパス
紀尾井町キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
身の回りを見渡せば、ヒットしている映画やドラマ、舞台、ゲームなどの多くには原作があることに気づくだろう。ミュージカルの傑作『ウエスト・サイド・ストーリー』はシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』が下敷きであり、マーベル映画はコミックがもとになっている。本演習では、グローバル・エンタテインメントの世界で常に実践され続けている手法=アダプテーション(小説や漫画、ゲームなどの映像化・舞台化など)に着目し、幅広く作品を比較・分析。国内外の映像・舞台のアダプテーション作品、成功例・失敗例を考察しつつ、文化的グローバリゼーションやヒットコンテンツ、ポップカルチャーの実態を理解していく。そのために、さまざまなアダプテーション例を鑑賞、関連書籍の輪読、リサーチ・ディスカッション・発表を行う。さらにはコンテンツのプロモーション戦略「メディアミックス」についても取り上げ、「観客の心を掴むコンテンツ」を生み出すための重要な要素を発見していく。この演習を通して、たんなる消費者を一歩抜け出し、エンターテインメント業界における「作り手」としての視点を養うことが目的である。
授業の概要
「アダプテーション」という用語は、今や原作(文学)の映画化のみならず、演劇、漫画、アニメ、ゲームなど「メディアを横断した形式の変化をもたらすもの」をさすようになった。グローバル・エンタテインメントの世界で盛んに行われているこうした文化事象を多様な作品に触れて考察=インプットから、ディスカション=アウトプットまでを重ねつつ、最終的には学生それぞれがアダプテーションの実例を比較し、アダプテーションの企画を提案、さらにはそれを提示する成果物(文章や映像、作品、デザインなど学生が得意とする表現方法で)の制作を目指す。

◎授業紹介動画 https://youtu.be/2MQ2t9UiFKE

授業計画
1回
イントロダクション 「アダプテーションとは何か」
授業の内容:アダプテーション作品には、どのようなものがあるかを理解する。
到達目標:アダプテーションの定義づけ。
事前学習
[2h] 自分が見たことのあるアダプテーション作品を挙げておく。
事後学習
[2h] 授業内で提示した作品を視聴し、感想をまとめる。

2回
漫画から映画へ(1)
授業内容:漫画原作の作品を分析する。
到達目標:漫画原作ものの傾向を理解する。   
事前学習
[2h] 日本における漫画の映画化の流れを調べておく。  
事後学習
[2h]  授業で扱った作品の中から、一つ選んで原作を読んでおく。

3回
漫画から映画へ(2) 
授業内容:漫画原作の作品を批評する。
到達目標:近年の漫画原作ものの傾向を理解する。
事前学習
[2h] 近年話題を集めた漫画原作のアニメーション作品、実写映画を調べる。 
事後学習
[2h] 授業で扱った作品を鑑賞し、優れた点をまとめておく。

4回
漫画から映画へ(3)
授業内容:漫画から映画化された作品についてのディスカッション
到達目標:漫画映画の特色を理解する。
事前学習
[2h] 授業内に指定した作品を見て考察、ディスカッションの準備をする。
事後学習
[2h]  ディスカッションをもとに、自身の意見をまとめる。

5回
シェイクスピア劇の翻案(1)
授業内容:シェイクスピア劇を翻案した作品について
到達目標:時代を超えてアダプテーションされるシェイクスピア劇を理解する。
事前学習
[2h]  シェイクスピア劇を翻案した映画、演劇、アニメなどを調べておく。
事後学習
[2h]  シェイクスピアの戯曲をもとにした作品を鑑賞する。

6回
シェイクスピア劇の翻案(2)
授業内容:「ロミオとジュリエット」を題材にした映像・舞台作品を分析する。
到達目標:同じ物語を用いたアダプテーションの違いから、創作者の意図を理解する。
事前学習
[2h] 授業内に指定した作品を視聴し、原作にも触れておく。
事後学習
[2h] 授業をふまえ、各自考察を深める。

7回目
ディズニー作品
授業内容:ディズニーアニメーションから実写化された作品分析。
到達目標:アダプテーションが成功する過程、要素を掘り下げる。
事前学習
[2h]  ディズニーアニメから実写化への流れを調べておく。 
事後学習
[2h]  授業をふまえ、各自考察を深める。

8回
メディアミックスとは何か?
授業内容:日本のコンテンツビジネスに欠かせない「メディアミックス」について考察する。
到達目標:異なるメディアを横断する物語の特質、コンテンツを売るための手法を理解する。
事前学習
[2h]  ディズニー作品の舞台化の歴史を調べておく。 
事後学習
[2h]  授業で取り上げた作品を見てレポートにまとめておく。


9回
アダプテーションに選ばれるストーリーとは
授業内容:語り直される物語についてのディスカッション。
到達目標:さまざまに翻案されるストーリーに必要な事柄を理解する。
事前学習
[2h]  メディアミックスの成功例について意見をまとめる。
事後学習
[2h] 授業内に扱った作品を視聴、原作を読み、異なる部分をリストにする。

10回
有名文学のアダプテーション(1)
授業内容:小説から映画化・ドラマ化された作品の分析。
到達目標:文学をもとにしたアダプテーションの傾向を知る。
事前学習
[2h] 文学から他メディアに翻案された有名作品を調べておく。 
事後学習
[2h] 授業内で扱った作品を読んで、見て感想をまとめる。

11回
有名文学のアダプテーション(2)
授業内容:文学を原作した映画・ドラマに関するディスカッション。
到達目標:文学と映像メディアとの特色の違いを学ぶ。
事前学習
[2h] 授業内に指定した作品を視聴し、ディスカッションの準備をする。 
事後学習
[2h] ディスカッションを踏まえ、まとめを作成する。

12回
リメイクされる物語
授業内容:映画のリメイク作品についての考察。
到達目標:リメイク作品をいくつか比較し、それぞれが生まれた時代背景の影響について考える。
事前学習
[2h] リメイクされた映画を調べておく。  
事後学習
[2h] 授業で取り上げた作品を鑑賞し、各自考察を深めておく。

13回
中間発表会(1)
授業内容:これまでの演習を踏まえ、アダプテーション例1作品について発表。
到達目標:アダプテーションに対する理解を深める。
事前学習
[2h]興味あるアダプテーション作品(映画・ドラマ・舞台)を一つ選び、世間の反応をリサーチ。発表の準備をする。
事後学習
[2h] 各自の発表を受けて、まとめを作成する。

14回
中間発表会(2)
授業内容:これまでの演習を踏まえ、アダプテーション例を1作品について発表。
到達目標:アダプテーションについて掘り下げる。
事前学習
[2h]興味あるアダプテーション作品(映画・ドラマ・舞台)を一つ選び、公開または上演当時の世間の反応をリサーチ。発表の準備をする。
事後学習
[2h] 他の人の発表に対する講評をまとめる。

15回
ヒットコンテンツ分析(1)「ハリーポッター」の成功を例に
授業内容:世界的ヒット作を分析・批評。
到達目標:アダプテーションの過程で何が起きているかを理解する。
事前学習
[2h]「ハリーポッター」シリーズについて調べておく。  
事後学習
[2h] 授業を踏まえ、アダプテーションに必要不可欠な要素をまとめておく。

16回
ヒットコンテンツ分析(2)キャラクター
授業内容:「ピーナッツ」を題材に、キャラクタービジネスについて考える。
到達目標:さまざまに展開するキャラクターの力を理解する。
事前学習
[2h] チャールズ・M・シュルツ作「ピーナッツ」について調べておく。
事後学習
[2h] 漫画などから他メディアに発展したキャラクターに関してまとめる。

17回
アダプテーションと異文化
授業内容:ハリウッドでリメイクされた日本映画の作品分析。
到達目標:言葉・文化の違いを乗り越えるコンテンツの力を知る。
事前学習
[2h] 海外でアダプテーションされた日本のコンテンツを調べる。
事後学習
[2h] 授業で指示した作品を視聴し、感想をまとめる。

18回
翻訳とアダプテーション
授業内容:「翻訳」という観点から、アダプテーションについて考える。
到達目標:翻訳とアダプテーションの共通項を見出す。

事前学習
[2h] 翻訳にはどんな意味があるかを考えてまとめておく。
事後学習
[2h] 授業をふまえ、各自翻訳とアダプテーションに関する考察をまとめておく。

19回
輪読1
授業内容:指定された文献を読み、代表者が内容をまとめて発表、ディスカッション。
到達目標:アダプテーションへの理解を深める。
事前学習
[2h]  授業内に指定した文献を読み、取り上げられている作品を調べる。
事後学習
事後学習
[2h] 各自の発表を受けて、まとめを作成する。次回の発表担当者はその準備をする。

20回
輪読2
授業内容:各自指定された文献を読み、発表、ディスカッション。
到達目標:アダプテーションを成功させるために必要な要素を発見する。
事前学習
[2h]  授業内に指定した文献を読み、取り上げられている作品について調べる。
事後学習
[2h] 輪読を踏まえてまとめを作成する。次回の輪読担当者はその準備をする。

21回
輪読3
授業内容:各自指定された文献を読み、発表、ディスカッション。
到達目標:アダプテーションの技術を学ぶ。
事前学習
[2h]  授業内に指定した文献を読み、取り上げられている作品について調べる。
事後学習
[2h] 授業をふまえ、各自考察をまとめる。

22回
輪読4
授業内容:各自指定された文献を読み、発表、ディスカッション。
到達目標:アダプテーションおよびメディアミックスの視点から、映像・ゲーム・舞台・アニメなどメディアの特色を整理する。
事前学習
[2h]  授業内に指定した文献を読み、取り上げられている作品について調べる。
事後学習
[2h] 授業を踏まえ、異なるメディアの性質を整理する。

23回目
アダプテーション案の企画
授業内容:注目の小説・漫画の人気の理由をアダプテーションの視点から分析。
到達目標:アダプテーション案を考える。
事前学習
[2h] 最新の「本屋大賞」「次に来るマンガ大賞」に挙がった作品について調べておく。
事後学習
[2h] 授業をもとに、アダプテーション案を考える。

24回
アダプテーション案の企画、あるいはアダプテーション比較 発表1
授業内容:話題の原作をもとに企画。あるいは人気作品を比較分析。
到達目標:プレゼンテーションを行う。
事前学習
[2h] これまでの授業をもとに、企画案発表のための準備をする。 
事後学習
[2h] 発表者の案に対する意見をまとめる。

25回
アダプテーション案の企画、あるいはアダプテーション比較 発表2
授業内容:話題の原作をもとに企画。あるいは人気作品を比較分析。
到達目標:プレゼンテーションを行う。
事前学習
[2h] 企画案、比較分析の発表のための準備をする。
事後学習
[2h] 各自の発表についてのリアクションをまとめる。

26回
結論・まとめ
授業内容:これまでの授業をもとに「アダプテーション」とは何かをあらためて定義づける。
到達目標:ヒットさせるコンテンツに必要な要素をまとめる。
事前学習
[2h]これまでの授業を復習、疑問点、注目点をまとめておく。
アダプテーションとは何か、その効果と今後の展望についての意見をまとめる。   
事後学習
[2h] 期末プレゼンの総括とレポートをまとめる。

試験及び成績評価
成績評価は下記の通り行う。
授業への参加・途中課題など 60%
最終プレゼン&レポート 40%
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
課題(発表・レポートなど)に対するフィードバックについて:
授業内で解説する。

講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
輪読に用いるテキストは事前にデータにて、そのほか必要な資料は適宜授業時に配布する
参考文献・推薦図書
『アダプテーション理論』リンダ・ハッチオン(晃洋書房/2012年/3300円)       
『漫画+映画!漫画原作映画の現在地』映画秘宝編集部編(洋泉社/2017/1450円)
『翻訳の授業 東京大学最終講義』山本史郎(朝日新書/2020/869円)
『なぜ日本は<メディアミックスする国>なのか』マーク・スタインバーグ(KADOKAWA/2015/2090円)

研究室
紀尾井町キャンパス3号棟4階 共同研究室
オフィスアワー
金曜日II&III
そのほか、質問・相談はいつでも受け付けますので直接連絡してください。
※授業についての質問は本サイト(授業Q&A)を活用してください。
科目ナンバリング
学位授与方針との関連
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