教員名 : 魚住 明代
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授業科目名
女性学基礎論(思想と理論)
学年
1年
単位数
2単位
実務経験の有無
〇(実務経験有)
開講クォーター
セメスタ指定なし
担当教員
魚住 明代
授業形態
授業で主に使用する言語
日本語の文献(翻訳文献)を用いて日本語で授業を行う。
授業方法区分
開講キャンパス
紀尾井町キャンパス
授業の到達目標及びテーマ
女性学の基礎となる知識を習得する。特にフェミニズムの歴史を遡り、代表的な思想家/運動家の思想を学び、十分に理解する。またフェミニズムの運動がどのように社会変革を促してきたのかを理解する。女性学・ジェンダー研究の成立後は、いかにして理論が発展・展開されてきたのかについても、基礎的文献を踏まえながら理解を深める。
授業の概要
第一波フェミニズムの思想を学ぶ。特に男性による女性の権利の擁護として、ジョン・ステュアート・ミル、フリードリヒ・エンゲルス、アウグスト・ベーベルの思想を学ぶ。各文献を授業を通じて講読し、その社会的影響について学ぶ。第二波フェミニズムに関して、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、ベティ・フリーダンなどの著作を講読する。基礎的な講義を行ったうえで、演習形式で履修者にフェミニズムの理論についての報告をしてもらう。
授業計画
1回
スライドを用いながら第一波フェミニズムについて講義を行う。
19世紀のヨーロッパにおける女性の社会的地位について講義を行い、第一波フェミニズムの主張を取り上げてディスカッションをしながら理解を深めていく。 ジョン・スチュアート・ミルの思想について、文献を講読しながら理解を深める。 事前学習
シラバスに上げられた思想家の著作、生きた時代、社会的な影響等について事前によく調べておく。
事後学習
『女性の隷従』について読後の感想文をまとめて提出する。
2回
『家族・私有財産および国家の起源』を読み進めていく。特に「家族」の部分を分担しつつ読み進めて、現代の視点からディスカッションを行う。また各自が持ち寄った参考文献についても紹介をしながら理解を深めていく。
事前学習
フリードリヒ・エンゲルスが生きた時代について学ぶ。
事後学習
授業の復習を行い、文献の要約と自身の意見をまとめてレポートを作成する。
3回
『婦人論』を読み進める。時代背景やフェミニズムとの関わり、ベーベルの先進的な考えなどをスライドと履修者相互のディスカッションを行いながら学んでいく。限定的にでも分担して読み進めることで、その思想を出来る限り正確に理解できるようにする。
事前学習
アウグスト・ベーベルについて、その生きた時代、思想、当時の社会の事情(特に女性運動の多様な主張)等を各自が調べておく。
事後学習
ベーベルの思想が翻訳された時期に、日本のジェンダー状況はどのようであったのか、また如何なる影響があったのかを調べてレポートにまとめる。
また19世紀以降のドイツの女性解放の思想と運動について、授業内容を踏まえて復讐する。 4回
第一波フェミニズムの主張や成果をまとめる中で、女性の市民権が認められた後にどのような課題が積み残されていたのかについて理解を深める。第二次世界大戦後の社会状況を踏まえて、第二波フェミニズムに繋がっていく、女性への抑圧や差別を理解する。特にアメリカやヨーロッパの事例を踏まえて、フェミニズムの主張を学ぶ。
事前学習
第2波フェミニズムについて、特に欧米の事情を詳しく調べておく。
事後学習
ディスカッションにおいて議論されたテーマを更に自習する。そのうえで本日のテーマについての自身の意見をレポートにまとめる。
5回
ボーヴォワール著『第二の性』を読み進めていく。履修者が分担した部分の説明を行い、ディスカッションを通じて理解を深める。
事前学習
シモーヌ・ド・ボーヴォワールの業績と社会に与えて影響について調べ学習をしておく。
事後学習
本日の議論の内容をレポートにまとめて、自身の意見を明確にする。特にボーヴォワールの思想が与えた影響に着目してまとめる。
6回
ベティ・フリーダン著『女らしさの神話』(邦題:新しい女性の創造)を読み、何が1960〜70年代のアメリカ社会の問題であったのかを理解する。「名前のない病気」とは何か、日本の事情と比較しながら理解を深める。本書が執筆された当時のアメリカの社会経済的状況について、各自が調べた内容を報告し、意見交換を行う。
事前学習
ベティ・フリーダンの業績について調べておく。授業時に自習内容についての報告が出来るようにしておくこと。
事後学習
アメリカの第二波フェミニズムにおける多様な主張を復習する。フェミニズムの主張が如何なる社会的状況の中で生まれて来たのかを具体例を踏まえてまとめる。授業のディスカッションを踏まえてレポートにまとめる。
7回目
アン・オークレー『家事の社会学』を読む。今では時間調査により家事労働についてのジェンダー統計が明らかにされているが、本書は「当たり前の女性の役割」であるとされてきた家事労働を研究対象とした基本となる文献である。マルクス主義フェミニズムの視点を踏まえて、家事労働の位置づけを問う。
事前学習
フェミニズムの多様な理論について調べ学習をする。
事後学習
授業の内容を要約し、ディスカッション内容についてもレポートで報告する。
8回
ナンシー・チョドロウ『母親業の再生産』を読む。育児がなぜ女性の手によって担われてきたのか、という問いに対する答えを、理論的・心理学的な先行研究を踏まえて求めていく。
フランスや日本における母性研究とも比較しながら、なぜこの書が書かれたのかを理解する。 事前学習
20世紀における女性の社会的活動の幅の拡大について、様々な領域の事例を取り上げ乍ら、十分に調べておくこと。
事後学習
授業を踏まえて、東アジアの研究ではどのような成果が示されているのかを調べてレポートをまとめる。スウェーデン、ニュージーランド、アメリカ、韓国など、例として挙げた国々の事情を各自が調べてレポートにまとめる。
9回
フランスとドイツの女性解放運動の事例を取り挙げて、人工妊娠中絶の自己決定権を求める女性の主張と社会との相克について学び、日本との比較を行う。更に現代アメリカやポーランドにおける動きに着目しつつ、どのような思想的背景があるのかを理解する。
事前学習
女性の自己決定権と第二波フェミニズムについて調べておく。
事後学習
授業で示した諸論文を読み、授業テーマに関してレポートをまとめる。
10回
近代家族という概念について学ぶ。近代家族におけるジェンダー役割や女性の地位について理解する。西洋における近代家族の歴史と変化の方向性を理解したうえで、日本との比較を行う。落合恵美子ほか、日本における主要な近代家族研究を踏まえて理解を深める。
事前学習
近代家族論について調べておく。
事後学習
アリエス『子供の誕生』やバダンテール『プラス・ラブ』などの文献を読み、課題をまとめて提出する。
11回
セクシュアルマイノリティの権利とフェミニズムの関係について理解する。アメリカにおける生解放運土の歴史を学び、セクシュアルマイノリティの権利の主張に関連して、どのような理論や研究があるのかを調べていく。現代社会における問題についてグループディスカッションを行う。
事前学習
性の多様性について事前学習をしてまとめておく。
事後学習
グループディスカッションの内容をまとめて、どのような課題があるのかを明確にする。
12回
イヴ・K.セジウィック著『男同士の絆』を読む。ジェンダー、セクシュアリティ研究に多大な影響を与えた書をもとに、ホモソーシャリティやホモフォビアの概念について学ぶ。
事前学習
ミソジニ—という概念について学んでおく。参考文献、上野千鶴子『女ぎらい』など。
事後学習
セジウィックの書が、セクシュアリティ研究、クイァー研究に与えた影響について考え、レポートにまとめる。
13回
本授業で学んできた概念について復習し、各回の授業を総括する。各回の報告担当者は、授業内容を短くまとめ、それをもとにディスカッションを行う。学びの過程で生じた問題について質疑応答をすることを通じて知識を確かなものにする。
事前学習
第一回から第十二回までの授業のまとめと復習をしておく。
事後学習
現代のジェンダーに関わる社会問題を一つ取り上げて、学習した内容を踏まえて論じる。
14回
事前学習
事後学習
15回
事前学習
事後学習
16回
事前学習
事後学習
17回
事前学習
事後学習
18回
事前学習
事後学習
19回
事前学習
事後学習
20回
事前学習
事後学習
21回
事前学習
事後学習
22回
事前学習
事後学習
23回目
事前学習
事後学習
24回
事前学習
事後学習
25回
事前学習
事後学習
26回
事前学習
事後学習
試験及び成績評価
試験は実施しない。毎回の授業での発表や参加の度合い(5割)と学期末レポート(5割)をもとに総合的に評価する。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック
提出課題については、次回の授業時間内にコメントを行う。またレポートなどについては、コメントを加えて別途返却する。
課題について質問がある場合にも、メール等を通じて連絡を取って欲しい。 講義で使用するテキスト(書名・著者・出版社・ISBN・備考)
女性の権利の歴史
辻村みよ子他
岩波書店
4000036580
参考文献・推薦図書
・J.S.ミル『女性の解放』岩波文庫、1957
・A.ベーベル『婦人論』岩波文庫、1971 ・F.エンゲルス『家族・私有材案・国家の起源』岩波文庫、1965 ・S.de.ボーヴォワール『第二の性』新潮文庫、2001 ・B.フリーダン『新しい女性の創造』大和書房、1977 ほか 授業のなかで参考文献を適宜示す。 研究室
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