日露戦争時における欧米の日本イメージを、パターナリズムの視点から分析した。開戦当初の欧米の日本イメージには、パターナリズムに根ざして、日本を被保護者として捉える見方が、親日・反日どちらの言説においても支配的であった。戦争が日本に有利に進むにつれて、パターナリズムは日本警戒論に取って代わられて行ったが、それでもパターナリズムは、日本を西洋の模倣国家とする見方などに潜在的に受け継がれて行ったことを実証的に明らかにした。
「パターナリズムのなかの日本 日露戦争と欧米の日本イメージの変遷」PP.229~243