『宇治拾遺物語』第四七話とその周辺
説話文学会四月例会 お茶の水女子大学
『宇治拾遺物語』四十七話は、現存ずる繁昌神社の由来を語るものとして知られている。しかし、女の死後の執着を語る同話と、近世以降、繁昌の神として祭られた信仰の様相とは一見直結しない。そこで、京都の地誌類を精査し、また、『日本書紀神代巻』等にみえる祇園信仰や、台密の資料『阿娑縛抄』などに見える吉祥天信仰などを用いて、疫神が福神へと変容するさまを検証した。その他、『宇治拾遺』の配列の中で、四十七話がどのような読みがなされるかを指摘、同話をめぐる複数の問題提起を行った。