『宇治拾遺物語』第三話鬼に瘤取らるる事をめぐる考察-新古今歌壇の様相との関連を中心に―
『宇治拾遺物語』第三話(昔話でいう「瘤取りの爺」)を取り上げ、新古今歌壇の歌人たちの動向との関連を探った。本話は、一見和歌とは関係がなさそうであるが、歌壇の『源氏』花宴巻の享受と関連して、『源氏物語』花宴と鬼の饗宴、後鳥羽院と和歌所寄人たちの「大内の花見」三者は重なることになる。また、主人公の翁には歌壇の一人で慈円が、隣の翁には鴨長明や藤原隆信が想起される仕組みになっていると考えられるとした。
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