『平家物語』先帝入水―龍、龍宮への視線―
(1~13頁)『平家物語』先帝入水の場面をめぐっては、『法華経』提婆達多品の享受を始め、安徳帝女帝説や、作品全体のテーマとのかかわりなど様々に論じられてきた。これらの先行研究を再検討しつつ、諸本によるイメージの違いを述べ、特に覚一本の平氏に対する好意的視線に、御伽草子の浦島伝説や『太平記』神功皇后伝説などにみえる、同時代の龍宮への好意的立場を併せ考える必要性を指摘した。
『城西国際大学人文科学研究科紀要』9号