上総国山辺郡の赤人伝承の背景 ―現地資料の側から―
『古今集』古注釈にみられる赤人上総国山辺郡出身説の背景を、地誌や現地資料の側から考察した。安川柳渓『上総国誌』にみえる「黒川某」が、近世史料に会津黒川出身で法光寺や本福寺の開山とされる日什所縁の者である可能性を示唆したうえで、赤人山辺郡出身説、人丸赤人一人異名説について考えるとき、十三世紀以降の山辺郡における日蓮宗の動向とその周辺も視野に入れる必要があることを提示した。
『城西国際大学紀要』
第30巻
第2号
0919-4967
日本の文学(古典)