『宇治拾遺物語』第一九〇話考-「大内の花見」などを手がかりに-
『宇治拾遺物語』独自の説話である第一九〇話について、「大内の花見」「すき」など話中のいくつかのキーワードを軸に語りの意図を考察した。これらの舞台設定や概念にこめられた意義・価値観は、説話の登場人物たちの時代と説話が享受された時代とで位相を持っている。それを利用しつつ、主人公の行為のきわどさの実感や話末評語の自己批判的意味を読者に提出する効果をねらっていると論じた。
お茶の水女子大学人間文化研究年報