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Basic information
Keynes (1936) 以降、不況期の緩慢な失業率は「賃金の下方硬直性」によるとされて久しいが、金融危機以降反証が多い。本研究は,失業 (Gali et al. 2012) と金融市場の不完全性 (Christiano et al. 2015) を共に構築する初のDSGEモデルを開発・提唱し,米国でのこの論争の調停を図った。推定の結果、危機後に10%を越え高く止まる失業は,名目金利のゼロ金利制約に加え、流動性リスクと金利スプレッドへのショックという金融ショックが主因と示された。対する労働市場の寄与は総じて小さく、賃金の下方硬直性仮説はもはや有効でない、とのマクロ経済学上極めて重要な示唆を得た。 |