倉田徹『中国返還後の香港』(名古屋大学出版会、2009年)を評する
第39回広東研究会(都市センターホテル)
1997年の中国への回帰以後の香港政治にかんする本格的かつ実証的な研究書である。香港と中国中央政府との関係が大方の予想に反して順調に推移した背景を分析している。香港を「小さな冷戦」が生み出した「準国家」ととらえている。多くの資料にあたっており説得力があるが、この構造がいつどのようにして始まったのかについての考察が欲しかった。