【目的】 登録販売者に必要とされる経営のスキルや医療人としての意識を明らかにする目的で、資格取得までに必要とされた情報・準備期間等を調査し、また登録販売者の育成システムの現状について考察した。
【方法】 ①専門学校卒業生以外の受験者(あるいは企業の教育担当者)に対して準備期間・延べ時間・就業期間を千葉県のドラッグチェーンに依頼しアンケート調査した。
②首都圏の登録販売者向け専門学校の、カリキュラムの実態調査を行った。
【結果・考察】 一般用医薬品登録販売者試験の合格者の94%が薬局・ドラッグストア勤務者であり、その内75%が勤務先で研修を受けた。資格取得後に7割が自身の成長を実感し、その理由として情報提供技術の向上、売り上げ貢献を挙げた。資格取得により満足感・充実感を73%が得ている。取得後71%で雇用の待遇が変わり、その理由は昇給が最も多く挙げられた。主に医薬品販売業務を行っている者は30%であった。説明頻度は、1日当たり5回以内が63%だった。資格所得者は医療人として自覚が強いと思われるが、セルフメディケーション推進への貢献は多大であるとは言えない。受験準備での座学期間は約9割が2年未満、8割が1年未満だった。勉強時間は1日当たり3時間未満が9割であった。受験準備で最も難解だった項目は、薬事関係法規・制度35%、主な医薬品とその作用30%、人体の働きと医薬品28%が挙げられた。取得準備の負担に比べて雇用待遇の変化は軽微で、資格所有者の待遇制度に問題がある可能性がある。登録販売者向けカリキュラムについて専門学校6校中3校は、パソコン実習導入などが薬学部と同等である。登録販売者育成システムは、現場で業務スキルを身につける要素があるため、2年制が適正であると思われる。