【目的】食行動の定着には複数の要因が影響する。本研究では運動実施状況の異なる大学生を対象に、食事に関する知識レベルの違いが望ましい食生活に関する社会的、心理的要因に及ぼす影響について検討した。【方法】646名の大学生を対象に調査を行った。調査票は望ましい食行動に関する社会的、心理的尺度および食事・栄養に関する知識問題と運動・身体活動の実施状況に関する質問から構成された。知識問題の正答数を四分位に、運動実施状況を3群(ATH群、REC群、SED群)に割付け、二元配置分散分析にて各種変数への影響を検討した。【結果】知識得点はSED群がATH群、REC群に比して有意な高値を示し、Q4に属する割合も高値を示した。知識レベルは複数の社会的、心理的因子得点に有意な影響を及ぼしたが、運動実施状況は意思決定のバランスのみに影響を及ぼした。いずれの因子得点においても、2要因の交互作用は確認されなかった。【考察】身体活動量に関わらず、知識の習得は望ましい食生活に関する社会的、心理的要因に影響を及ぼした。今後、習得すべき知識の種類や、知識習得が効果的に行動変容に促す要因抽出について検討したい。