村田沙耶香の諸作品から測る現代日本文学と人新世の距離―「街を食べる」、「生存」、「無害ないきもの」を中心に
芳賀浩一
日本において気候変動小説を書く数少ない作家のひとりである村田沙耶香の「生存」(2019年)と「無害ないきもの」(2024年)に焦点を当て、この2作に先行する「街を食べる」(2009年)との比較を通して、作品に現われる村田の環境観を明らかにし、英語圏を中心に広まる「人新世文学」の概念との異同を示す。
『横断人文学』
淑明女子大学
第19号