学生作品の3Dスカルプトツールを使ったクリーチャー制作の事例を元に, クリーチャーデザインにおける解剖学的整合性の必要性についての考察を行なった. 昨今のデジタルツールとそしてそれを支えるハードとソフトウエアの発展があり, デジタルコンテンツを使った商業作品の制作が活発になった. かつては「怪獣」「怪物」「モンスター」と謳われた想像上の生物がCGで制作されるようになってからは「クリーチャー」として定着した. 本論では「クリーチャー」を定義し, それらを, デザイン, 3DCGで造形, アニメーションとして動かすために比較解剖学の知識を活用した事例を学生作品の制作プロセスを通して検証し, 制作工程を確定する試みを行った. またボディプランにより動物間の形態の相同性が生じている点から, 異種の動物間の同じ関節の部位を挿げ替える「キメラ的合成」を行うことが違和感のないデザインをする上で有効であることが明らかになった.
キーワード:比較解剖学, 3Dスカルプト, CG, クリーチャー, キメラ