本発表は韓国日語教育学会・言語文化教育研究学会 共同開催 2018年度 第34回 冬季国際学術大会 企画発表の中で行われた企画趣旨説明を担う発表であった。言語教育における交流学習は、異なる地域で学ぶ人々をつなぐ学習として、学校教育を中心に様々な形態で実践されている。例えば、日本語教育と韓国語教育をつなぐ交流学習は1980年代以降、高等学校における言語教育において実践例が見られはじめ、2000年代からは大学における言語教育でも文献が見られるようになった(中川・岩井,2018)。また、2012年には『外国語学習のめやす-高等学校の中国語と韓国語教育からの提言』(以下、『外国語学習のめやす』)が刊行され、人、モノ、こととのつながりや21世紀型スキルの育成をも含めた交流学習も行われるようになってきている。その一方で課題として、教師たちが想定する学習者がつながりを持つ世界(社会)が教室という場に限られている傾向があるという点を指摘した。現在のところ、「学習者と学習者」、「学習者と学習支援者」がつながる実践は徐々に蓄積されてきているが、「学習者と社会」がつながる実践とはいかなるものを指すのかという議論は十分になされていないことについて問題提起している。
共同発表者:相澤由佳・岩井朝乃・澤邉裕子・崔秀美・登川恵利