頸髄損傷者8名(A群)と下位胸髄および腰髄損傷者8名(B群)の16名に対し、仰臥位から立位への体位変換時における血圧変動と心拍数変動に関して観察した結果、安静仰臥位から立位において、A群はB群に比べ、血圧は有意な減少変動を示し心拍数は有意な増加変動を示した。また、A群はB群に比べ、血圧の測定中変動幅は有意に大きかったが、心拍数の測定中変動幅は2群間での有意差は認められなかった。頸髄損傷者における反射性循環調節は、血圧変動では有効に機能していないが、心拍数変動では有効に機能していることが示唆された。
この論文は、ASIA機能評価尺度のAまたはBの症例を長年にわたり8症例ずつ集めて得た知見である。より客観的・普遍的見解を示せることが出来たと考える。